電子回路の基本知識(1)‐電圧・電流・抵抗の基礎
電子回路を学ぶ上で、最初に押さえるべき基本要素は「電圧」「電流」「抵抗」の三つです。これらは電子回路を構成するすべての要素の土台であり、それぞれがどのような性質を持ち、どのように関係しているかを理解することで、回路の設計やトラブルシューティングに活かすことができます。
■ 電圧とは何か
電圧とは、電気の「圧力」のようなものです。より正確には、電荷を移動させるためのエネルギー差のことを指します。例えば、水が高いところから低いところに流れるように、電気も電位の高い場所から低い場所へと流れます。電圧の単位は「ボルト(V)」で、乾電池1本はおよそ1.5Vを出力します。
電圧があるからこそ、電流は回路内を流れることができます。電圧は電流の「源」と言ってもよいでしょう。
■ 電流とは何か
電流は、電気が流れる量を表します。単位は「アンペア(A)」で、1秒間に流れる電荷の量として定義されます。電気は目に見えませんが、実際には電子という粒子が導体内を移動しています。
電流には「直流」と「交流」があります。直流は常に一定方向に流れる電流で、乾電池やUSB電源がこれに該当します。交流は一定の周期で向きが変わる電流で、家庭用コンセントなどが代表例です。
■ 抵抗とは何か
抵抗は、電流の流れにくさを表す値です。単位は「オーム(Ω)」で、導線や電子部品の素材や構造によって異なります。銅線のように電気が通りやすい素材は抵抗が小さく、ゴムやガラスのように通りにくい素材は抵抗が大きくなります。
抵抗は単なる障害ではなく、回路の動作を制御するために重要な役割を果たします。たとえば、LEDを壊さずに点灯させるためには、必ず電流制限用の抵抗を直列に入れる必要があります。
■ オームの法則
電圧、電流、抵抗の関係は「オームの法則」によって数式で表されます。
電圧(V)= 電流(I) × 抵抗(R)
この式を使うことで、どの2つかの値が分かれば、残りの1つを計算することができます。
例えば、ある回路の電源電圧が12Vで、使用している抵抗が6Ωだった場合、流れる電流は12 ÷ 6 = 2アンペアです。
■ 実例:LED点灯回路
実際の応用例として、LED(発光ダイオード)を使った基本回路を見てみましょう。LEDは直接電源につなぐと過剰な電流が流れて破損する恐れがあるため、必ず直列に抵抗を入れて電流を制限します。
例えば、電源が5V、LEDの順方向電圧が2V、流したい電流が20ミリアンペア(0.02A)だとすると、必要な抵抗値は次のように計算されます。
(5V - 2V)÷ 0.02A = 150Ω
このように、電圧差と希望する電流から、抵抗値を計算することで、安全にLEDを点灯させることができます。
■ 回路図の読み方
回路を視覚的に理解するには、回路図を読むことが重要です。回路図では、電源、抵抗、スイッチ、LEDなどの構成要素を記号で表しますが、ここでは文字化けを避けるため、記号を使わず簡単に説明します。
例えば、乾電池から出た電線にスイッチをつなぎ、その先に抵抗とLEDを直列につなぐという形の回路では、スイッチを押すと電流が流れてLEDが点灯するという動作になります。
■ まとめ
本稿では、電子回路の基本である「電圧」「電流」「抵抗」について解説しました。それぞれの役割と、オームの法則による関係性を理解することで、回路の仕組みが少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
次回は、この基礎をもとに「直列回路と並列回路の違いと使い分け」について、さらに具体的な回路例を交えてご紹介する予定です。
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