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クランプメーターとは
- 2025/7/1 -

クランプメーターとは

クランプメーターとは、電流を測定するための計測器の一種であり、電線に直接触れることなく電流を測定できる点が大きな特徴です。測定対象の電線をクランプ(挟む)するだけで電流値が測定できるため、安全性が高く、電気工事や設備保守などの現場で広く使用されています。

通常の電流計では、回路を切って測定器を直列に接続する必要がありますが、クランプメーターは非接触で測定できるため、通電中の配線でも安全に作業が可能です。

測定原理

クランプメーターの基本原理は、電線に流れる電流が作る磁界を検出し、それを電流値として換算するものです。最も一般的な方式は、電磁誘導の法則を利用した電流トランス方式です。

交流の場合は、電線に流れる電流が作る交番磁界をクランプ部の磁心が拾い、それに比例した電圧を検出して電流として表示します。直流を測定する場合はホール素子を用いた「ホール効果型」が必要で、これは磁界の方向や強さを検出することで直流成分の測定が可能となります。

測定対象と用途

クランプメーターは主に以下のような用途で使用されます。

低圧配線や分電盤の電流チェック
電気設備のメンテナンス時の通電確認
突入電流(インラッシュカレント)の測定
漏電電流の測定(リーククランプメーター)
電力測定や力率測定を含む高機能モデルでは、電圧・電流・有効電力・無効電力・皮相電力などの測定にも対応

また、最近の高機能モデルでは、真の実効値(True RMS)測定や波形の歪みを考慮した測定にも対応しており、インバータ負荷や非線形負荷が多い現場でも正確な測定が可能となっています。

測定できる電流の種類

クランプメーターは、測定できる電流の種類によって大きく2種類に分かれます。

交流専用タイプ
主に商用電源系統(50Hzや60Hz)を測定対象とする一般的なモデルです。比較的安価で構造もシンプルです。

交流・直流両用タイプ
ホール素子を搭載し、交流だけでなく直流電流も測定可能です。バッテリー系統、ソーラーパネル、DCモーターなどの直流回路にも対応できます。

電圧や抵抗など他の測定機能

多くのクランプメーターは、電流測定に加えて電圧測定や抵抗測定、導通チェック、周波数測定、静電容量測定などのマルチメータ機能も備えています。これにより、1台で幅広い計測作業を行うことができ、現場での効率が向上します。

電流以外の測定にはプローブ(テストリード)を使って配線に接触させる必要がありますが、これもクランプ部とは別に測定レンジを切り替えて使用できます。

選定時のポイント

クランプメーターを選ぶ際には、以下のような点を確認する必要があります。

測定可能な電流値の上限と分解能
交流のみか、直流対応か
測定精度(±○%など)と実効値方式(平均値 or True RMS)
クランプ径(大電流用ケーブルに対応できるか)
他の機能(電圧・抵抗・周波数など)の有無
表示部の視認性やホールド機能の有無
サイズや重量、携帯性
安全規格(CAT IIIやCAT IVなど)の対応範囲

特に、電源装置やインバータ制御回路、ソーラー設備など直流系の測定が必要な場合は、直流対応タイプを選ぶことが重要です。

クランプメーターと電流プローブの違い

オシロスコープや高精度測定に使われる「電流プローブ」は、より高周波応答や高精度を求めた専用機器です。クランプメーターはあくまでフィールドでの簡易・迅速な測定を目的としており、精度や応答速度はやや劣りますが、取り扱いの容易さと即時測定性が大きな強みです。

まとめ

クランプメーターは、回路を切断せずに電流を安全・迅速に測定できる便利な計測器です。電気工事や保守メンテナンスに欠かせないツールであり、用途に応じて交流専用・直流対応・マルチ機能タイプなど、様々なバリエーションがあります。電流測定を伴う作業では、その使いやすさと安全性から、最初に手に取る計測器のひとつとなっています。