プローブが必要な理由
オシロスコープと信号の橋渡し
オシロスコープは信号を観測するための装置だが、その本体だけでは直接信号を測定することはできない。電圧信号を正確に取り込むには、対象の電子回路とオシロスコープを電気的に接続する必要がある。そのために使用されるのがプローブである。プローブは単なるケーブルではなく、測定精度や信号の忠実性に直結する重要な機器である。
信号の歪みや減衰を防ぐために
測定対象の信号は非常に微小であることも多く、また高周波成分を含む場合にはわずかなインピーダンスの不整合でも波形が大きく歪むことがある。プローブには高インピーダンス入力や補償回路が組み込まれており、信号源に与える負荷を最小限に抑えながら、正確な波形を伝送できるよう設計されている。特にパッシブプローブにおいては、オシロスコープ本体との間での補償調整が必要であり、これがなければ正確な波形観測は困難になる。
ノイズの影響を抑える
オシロスコープ本体と測定対象の距離がある場合、その間をつなぐケーブルに外部ノイズが乗る危険がある。プローブはこうした外来ノイズの影響を抑える構造になっており、グラウンドリードの配置やシールド構造などが工夫されている。また、アクティブプローブや差動プローブでは、測定点での高入力インピーダンスと低出力インピーダンスによって、信号伝送時のノイズ耐性がさらに向上している。
高周波信号の観測に対応するために
一般的な信号ケーブルでは高周波成分が減衰したり、反射が起きたりすることがあるが、高周波対応のプローブでは帯域や立ち上がり時間が厳密に管理されている。特にギガヘルツ帯の信号を観測するには、対応周波数の高いアクティブプローブや同軸型のプローブが必須である。これにより高速デジタル信号やRF回路の信号も忠実に取り込むことができる。
差動測定が必要なケース
電源ラインのように、基準電位がグラウンドでない信号を測定する場合や、微小な差分信号(差動信号)を観測したい場合、差動プローブが必要になる。これにより、2点間の電位差だけを取り込み、共通モードノイズの影響を受けずに正確な波形を得られる。車載ネットワークや高速インタフェースの解析にも必須のツールである。
安全性の確保
高電圧信号を測定する際には、人体や機器を保護するために、絶縁構造を持つプローブが不可欠である。特に電源装置やインバータ回路などを扱う際には、光絶縁型や高電圧差動プローブを使うことで、安全を確保しつつ精度の高い測定が可能になる。誤って通常のプローブを使用すれば、プローブやオシロスコープが破損するだけでなく、作業者に危険が及ぶ可能性もある。
測定対象や用途に応じた選択が必要
プローブにはパッシブプローブ、アクティブプローブ、差動プローブ、高電圧用プローブ、電流プローブなど多くの種類が存在し、それぞれ対応する用途が異なる。例えば、パッシブプローブは汎用的であるが、帯域や感度には限界がある。逆にアクティブプローブは高周波測定に優れるが、コストが高く取り扱いも慎重を要する。測定対象に応じた適切なプローブ選定が、測定精度と効率に大きな影響を与える。
プローブの管理と調整も重要
プローブは使用しているうちに経年劣化や破損が生じることがある。特にプローブ先端のフック部分やグラウンドリードは繊細なため、定期的な点検と、必要に応じた交換や補償調整が必要である。また、複数のプローブを使い分ける場合は、それぞれのプローブに対するオシロスコープ側の設定(減衰比、帯域制限など)を正確に行う必要がある。
まとめ
オシロスコープで正確な測定を行うためには、プローブは不可欠な存在である。ただの信号ケーブルとは異なり、信号の忠実性を保ち、ノイズの影響を最小限に抑え、安全な測定環境を構築するための高度な機能を備えている。測定対象に適したプローブを選び、正しい方法で使用することが、精度の高い観測結果につながる。プローブはオシロスコープの一部として考えるべき重要な測定機器である。
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