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デジタルオシロスコープとアナログの違い
- 2025/7/1 -

デジタルオシロスコープとアナログの違い

オシロスコープには大きく分けて「アナログ・オシロスコープ」と「デジタル・オシロスコープ」の2種類があります。どちらも電気信号の波形を観測するための装置ですが、その表示原理記録方法において大きな違いがあります。本記事では、両者の特徴や使い分け、メリット・デメリットについて解説します。

アナログ・オシロスコープの仕組みと特徴

アナログ・オシロスコープは、ブラウン管(CRT)を使用して信号波形をリアルタイムで表示する装置です。電気信号がそのまま電子ビームの偏向に使われ、蛍光面に直接描画されるため、信号の変化が滑らかに映し出されます。

主な特徴:

  • 信号は連続的に表示され、タイムラグがない

  • 高速信号の一瞬の変化に強い

  • ノイズや不安定な信号の「雰囲気」をつかみやすい

  • 内部的なAD変換処理を行わない

一方で、波形の保存や解析が困難であること、マルチチャンネルや自動測定などの高度な機能がないこと、重くて大きいという物理的な欠点があります。

デジタル・オシロスコープの仕組みと特徴

デジタル・オシロスコープは、入力信号をADコンバータでデジタルデータに変換し、そのデータを処理してディスプレイに表示する装置です。信号は一度「数値データ」として取り込まれるため、保存・解析・再表示・PC転送が可能です。

主な特徴:

  • 波形を保存・再表示・解析可能

  • 自動測定・カーソル機能・FFT解析など多機能

  • 複数チャンネル・ズーム・トリガ設定に柔軟対応

  • タブレット型やバッテリー内蔵型など形状が多様

現在の主流はこのデジタルタイプであり、教育現場や開発・製造・保守において広く使用されています。

波形表示の違い

アナログ・オシロスコープでは、連続的に電子ビームが動き、リアルタイムかつスムーズな描画が可能ですが、信号の強さや速度によっては描ききれない部分が生じることもあります。

一方、デジタル・オシロスコープでは、一定のタイミングで信号をサンプリング(離散化)し、そのデータを基に画面上にピクセルで波形を再構成します。そのため、サンプリングレートや帯域幅によって描画精度が左右される場合がありますが、ノイズ除去や平均処理などの補助機能が豊富です。

トリガ機能の違い

アナログ機は基本的な「エッジトリガ」が中心で、単純な波形の安定表示には向いていますが、複雑な信号の取り込みには不向きです。

デジタル機はシリアル通信(I2C, SPI, UART, CAN, LINなど)専用トリガやデコードが可能で、組込み開発や車載ネットワークなどの解析にも対応できます。

保存と共有のしやすさ

アナログ機は画面に表示された波形を目で見るだけの用途が中心です。一部の高機能機では写真を撮る方法もありますが、波形をデータとして保存・解析・共有することは困難です。

対してデジタル機は、USB・SDカード・LAN・Wi-Fi経由でのデータ転送が可能で、報告書やプレゼン資料への応用にも便利です。特に、OWONやMicsigのようなタブレット型製品ではスクリーンショット機能や自動レポート作成機能も搭載されています。

サイズと価格の違い

アナログ機は構造上、ブラウン管や高電圧回路を内蔵する必要があり、重くて大型です。中古で安価なものもありますが、修理や校正の難しさ、部品の入手困難さなどが課題です。

一方、デジタル機は回路の集積化により、軽量・コンパクト・多機能化が進んでおり、エントリーモデルからハイエンドまで幅広く選べるようになっています。価格面でも、1万円台から購入できるモデルがあるなど、個人でも手が届く水準となっています。

まとめ:どちらを選ぶべきか?

アナログ・オシロスコープは現在ほとんど製造されておらず、レガシー製品としての価値リアルタイム表示の感覚を重視する場面に限定されます。

一方、デジタル・オシロスコープは利便性・拡張性・解析機能に優れており、今後も中心的な計測ツールとして使われ続けるでしょう。とくに、OWONのようなリーズナブルで高性能なデジタル機は、初心者からプロまで幅広い層に適していると言えます。