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任意波形ファンクションジェネレータとは
- 2025/7/1 -

■任意波形ファンクションジェネレータとは

任意波形ファンクションジェネレータ(Arbitrary Waveform Function Generator、略してAWG)は、任意の波形を自由に作成・出力できる信号源です。従来のファンクションジェネレータが正弦波・方形波・三角波などの基本波形の出力に特化しているのに対し、任意波形機能付きのAWGでは、ユーザーが任意に編集した複雑な波形や一度記録した波形を再現することが可能です。

●主な用途

  • センサ信号やノイズ環境の模擬

  • マイコン入力信号やデジタル制御波形の検証

  • オペアンプ回路やフィルタ回路の応答評価

  • 医療機器やオーディオ機器向けの特殊波形テスト

開発・研究・教育・メンテナンスなど、あらゆる現場で活躍します。


●主な機能と仕様の見方

任意波形ファンクションジェネレータを選ぶ際は、以下のポイントが重要です。

【1】最大出力周波数
出力できる波形の周波数上限を示します。数MHz~数百MHzまで幅があります。たとえば、OWONの AG1022F では最大20MHz、AG1022では25MHz、上位機では50MHzや100MHzモデルも存在します。

【2】波形分解能・任意波形長
任意波形の再現精度は「垂直分解能(例:14ビット)」と「水平分解能(サンプル数)」に依存します。波形長(例:16kポイント)やサンプルレート(例:125MSa/s)も、滑らかさや波形再現性に直結します。

【3】基本波形+ビルトイン波形
ほとんどのAWGは、正弦波・方形波・三角波・ランプ・パルスなどの基本波形に加え、指数波・ステップ波・Sin(x)/xなど内蔵特殊波形(プリセット波形)も選択可能です。

【4】任意波形編集ソフト・PC連携
PC上で波形を作成・編集し、USBまたはLAN経由で本体に転送できるモデルも多くあります。CSVファイルや波形画像をもとに再現できるため、実波形の再現テストや故障解析にも有効です。

【5】変調・スイープ・バースト機能
AM・FM・PM・FSKといった変調機能や、周波数を連続的に変化させるスイープ機能、指定回数のみ出力するバースト機能などを搭載したモデルもあります。より実践的なシミュレーションに対応します。

【6】出力特性と振幅レンジ
振幅(例:2mVpp~10Vpp)や出力インピーダンス(通常50Ω)も重要です。測定対象に合わせて出力レベルを細かく調整できる機種を選びましょう。


●OWONの代表的AWGモデル(例)

  • AG1022F:20MHz / 14ビット / 2ch出力 / USBインターフェース

  • AG1022:25MHz / 高コスパ入門機

  • XDG2102:100MHz / 高速サンプルレート / タッチ操作対応

  • ADS3000シリーズ内蔵AWG(オプション):オシロ+波形発生器一体型で省スペース運用に最適


任意波形ファンクションジェネレータは、単純な信号発生だけでなく、「思い通りの信号を自在に作れる」という点で、測定・評価の自由度を飛躍的に高めてくれるツールです。開発の現場でも、学生実験でも、1台あると大変重宝されます。ニーズに応じた最適な1台を選ぶために、用途と必要な仕様を明確にしたうえで選定するのがポイントです。