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ファンクションジェネレータでオペアンプの周波数特性を測る方法
- 2025/6/30 -

ファンクションジェネレータでオペアンプの周波数特性を測る方法

オペアンプ(オペレーショナルアンプ)は、アナログ回路において非常に重要な役割を果たす素子です。フィルタ回路や増幅回路など、さまざまな応用がある中で、オペアンプの「周波数特性」を測定・評価することは、回路の安定性や性能を確認する上で欠かせません。

本記事では、ファンクションジェネレータとオシロスコープを用いて、オペアンプの周波数特性を簡易的に測定する方法を解説します。特別な高額機器を使わずに、教育・実験・開発用途でも実践できる内容です。


1.周波数特性とは何か?

周波数特性とは、回路に対して異なる周波数の信号を入力した際に、出力信号の振幅(ゲイン)や位相がどのように変化するかを示す指標です。

オペアンプの周波数特性を調べることで、以下のような重要な情報が得られます。

・通過帯域や帯域幅(有効な増幅範囲)
・−3dBポイント(出力が入力の70.7%に落ちる周波数)
・ゲインの減衰傾向(ロールオフ特性)
・位相の遅れや安定性に関する傾向

これらの情報をもとに、設計中の回路が意図した性能を満たしているかを判断できます。


2.必要な機材

オペアンプの周波数特性を測定するために最低限必要な機材は次の通りです。

・ファンクションジェネレータ(正弦波出力可能な信号源)
・オシロスコープ(2チャンネル入力)
・テスト対象のオペアンプ回路(非反転増幅など)
・DC電源(±12Vや±15Vなど)
・BNCケーブルやプローブ、分岐アダプタなど

これらの機器を使うことで、入力信号と出力信号をリアルタイムに比較し、ゲインと位相の変化を観察できます。


3.回路の構成と接続方法

まずは、測定対象のオペアンプ回路を準備します。一般的には、非反転増幅回路や**ユニティゲインバッファ(フォロワ回路)**が使われます。

以下のように機材を接続します。

1.ファンクションジェネレータ出力 → オペアンプの入力端子へ接続
2.オペアンプの出力 → オシロスコープのCH2へ接続
3.ファンクションジェネレータ出力(または分岐) → オシロスコープのCH1へ接続
4.GNDは全機器で共通にする
5.オペアンプに±電源を供給する

この接続により、オシロスコープ上で入力波形(CH1)と出力波形(CH2)を同時に確認することができます。


4.測定の手順

ファンクションジェネレータから正弦波を出力し、周波数を段階的に変化させて測定を行います。

1.ファンクションジェネレータの出力波形を正弦波に設定
2.出力振幅を固定(例:1Vppまたは100mVpp)
3.出力周波数を100Hzからスタートし、1kHz、10kHz、100kHz、1MHzと段階的に上げていく
4.各周波数における入力と出力の振幅(電圧)をオシロスコープで測定
5.ゲイン(dB)を計算
  → ゲイン = 20 × log₁₀(Vout / Vin)
6.可能であれば、波形のズレから位相差も確認

この作業を繰り返してデータを収集することで、周波数ごとの増幅特性を明らかにすることができます。


5.注意点と測定のコツ

測定精度を高めるために、以下の点に注意しましょう。

・ファンクションジェネレータと負荷のインピーダンス整合に注意
・高周波になるほど波形が歪みやすいため、オシロスコープとプローブの帯域に注意
・電源ノイズの影響を受けやすいため、十分なフィルタ処理を行う
・1Vppより大きな振幅を入力すると、オペアンプのリニア領域を超える恐れがある
・必ず入力信号と出力信号を同一基準で比較する(スケールの一致)


6.結果の整理と解析

測定結果は、スプレッドシートにまとめてグラフ化することでより直感的に理解できます。縦軸をゲイン(dB)、横軸を周波数(Hz、対数スケール)としてプロットすると、**ボード線図(Bode Plot)**として可視化できます。

グラフから得られる主な情報は次の通りです。

・帯域幅(−3dBポイント)
・ゲインの傾き(-20dB/decなど)
・急激な減衰点や不安定領域
・位相遅れ(測定した場合)

簡易的な測定でも、オペアンプの安定性や応答性能の傾向を十分に把握できます。


まとめ|ファンクションジェネレータで簡易測定を始めよう

オペアンプの周波数特性は、電子回路の品質や安定性を左右する重要なパラメータです。高価なベクトルネットワークアナライザを使わずとも、ファンクションジェネレータとオシロスコープを組み合わせるだけで、簡易的な特性評価が可能です。

ポイントは以下の通りです。

1.正弦波信号を用いて周波数を段階的に変化させる
2.入力と出力の振幅を比較してゲインを算出する
3.測定値を記録し、グラフ化して視覚的に確認する

このようなアナログ回路の測定スキルは、回路設計や評価の基礎として非常に重要です。教育現場や開発初期の段階でもぜひ活用してみてください。