安定化電源とは何か?
電源は電子回路の命
電子回路を動かすうえで欠かせないのが「電源」です。家庭用のAC100VやAC200Vは、電圧の変動やノイズを含んでおり、精密な電子機器の動作にはそのまま使えません。そこで必要になるのが、電圧を一定に保ち、きれいな直流(DC)電力を供給できる「安定化電源」です。
安定化電源の役割
安定化電源は、入力側から供給される不安定な電源電圧を、目的に応じて一定のDC電圧に変換して出力する装置です。一般的には、以下のような機能を持っています。
出力電圧・電流の設定が可能
任意の電圧(たとえば3.3V、5V、12Vなど)や電流値(0.5A、1A、2Aなど)に調整できます。
過電流保護(OCP)・過電圧保護(OVP)機能を搭載
誤って過大な電圧や電流が流れた場合、自動的に電源を遮断して回路を保護します。
ノイズの少ない出力
回路の誤動作を防ぐために、リップル(波形の揺らぎ)やノイズを最小限に抑えています。
リニア方式とスイッチング方式
安定化電源には、主に以下の2種類の方式があります。
リニア方式(シリーズレギュレータ)
アナログ的に電圧を制御する方式で、リップルが非常に少なく、精密機器に最適です。ただし、変換効率が低く、発熱が大きいため大型のヒートシンクが必要になります。
スイッチング方式(スイッチングレギュレータ)
トランジスタを高速でON/OFFすることで電圧を制御する方式です。高効率で軽量かつ小型ですが、ノイズ対策が必要になることがあります。
出力の種類:シングル、デュアル、マルチ
安定化電源の出力端子は、用途によっていくつかのパターンがあります。
シングル出力
1つの電圧値を出力する基本形です。5V単独や12V専用など、単純な構成に向いています。
デュアル出力・マルチ出力
+15V/-15Vなど、正負の両極性を同時に出力するモデルや、複数の電圧を独立して出力できる製品もあります。アナログ回路やオペアンプの電源供給に使われます。
電源と電子計測の関係
開発や試験現場では、安定化電源はオシロスコープやマルチメータと並んで不可欠な存在です。たとえば、以下のようなケースで使われます。
動作試験
ICやモジュールが正しく動作するか確認するために、規定電圧で動かす必要があります。
負荷テスト
電流を徐々に上げていくことで、回路がどこまで耐えられるか評価します。
短絡試験や過電圧試験
保護回路の挙動を確認するために、あえて過大な条件を与えてテストすることもあります。
最近の安定化電源のトレンド
近年では、以下のような進化が見られます。
デジタル制御
従来のアナログつまみではなく、タッチパネルやUSB接続で精密な電圧・電流制御が可能なモデルが登場しています。
リモートセンシング
電源から測定対象までの配線抵抗による電圧降下を補償する機能で、より正確な供給が可能になります。
通信機能付きモデル
USB、RS-232、LANなどでPCと接続し、自動測定やリモート操作を実現します。
まとめ
安定化電源は、電子回路を安全かつ正確に動作させるために欠かせない基本装置です。リニア式とスイッチング式、出力チャンネル数、通信機能の有無など、目的に応じて選択することが重要です。教育現場から研究・開発、製品検査ラインに至るまで、安定化電源は多くの場面で活躍しています。
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