【入門】電子負荷の定格を守るための計算(電圧・電流・電力)
電子負荷を安全に使用するためには、電圧(V)・電流(A)・電力(W) の定格を守ることが最も重要である。定格を超えると、電子負荷のMOSFETが過熱し、故障や破損の原因になる。本記事では、必要な計算と判断方法をわかりやすくまとめる。
電子負荷の定格は「3つの制限」がある
電子負荷には以下の3つの最大値があり、どれか1つでも超えると危険になる。
・最大電圧(Vmax)
・最大電流(Imax)
・最大電力(Pmax)
どれも守る必要がある。
最も重要な式:P = V × I
電子負荷に流れる電力(W)は、
電圧(V) × 電流(A) で決まる。
例
V = 20V
I = 5A
→ P = 100W
電子負荷内部では、この100Wがそのまま熱になる。
だから「熱(W)」が一番危険につながる。
1. 電力(W)が安全範囲に入っているか
例えば、電子負荷の定格が150Wの場合、
入力
・電圧 → 30V
・電流 → 6A
計算
30V × 6A = 180W
→ 定格150W超え → 危険
このように、電圧と電流の組み合わせで簡単に超えるので注意が必要。
2. 電圧の上限(Vmax)を確認する
電子負荷は “電流ゼロの状態” でも、
最大電圧を超えると即故障する。
例:電子負荷の Vmax = 150V
バッテリーや電源の最大電圧が150Vなら、
余裕をもって使わなければならない。
・150V電源 → ギリギリ危険
・140V程度 → 安全余裕あり
電圧は余裕(20%以上)が必要。
3. 電流の上限(Imax)を超えないようにする
例えば、電子負荷の Imax = 30A の場合、
・低電圧電源では電流が流れやすい
・電源が電流を出せてしまう場合も注意
特にUSB-C PD・低電圧高電流タイプの電源は要注意。
4. 定格曲線(デレーティング)を確認する
多くの電子負荷は、
「高電圧時は大電流が引けない」
という制限(デレーティング)がある。
例
・0〜20V → 30A可
・20〜60V → 15Aまで
・60〜120V → 5Aまで
これは、MOSFETの安全動作領域(SOA)の制約によるもの。
電圧が高くなるほど安全に吸い込める電流が減る
という性質がある。
計算例(よくあるNGパターン)
電子負荷定格
・Vmax = 150V
・Imax = 30A
・Pmax = 150W
電源条件
80V / 5A
計算
80V × 5A = 400W → 定格オーバー(150W)
この電源は 電圧・電流は範囲内でも、電力が完全にオーバーする。
※初心者が最も間違えるポイント。
5. 安全に使うための基本ルール
電子負荷を安全に使うためには、以下を守れば問題ない。
・P = V × I を常に計算する
・電圧/電流/電力のどれか1つでも超えないようにする
・定格の70〜80%で使う(安全マージン)
・高電圧ほど大電流を使わない
・ファンを塞がない/通風を確保する
・長時間の高負荷は特に注意
簡単なルールだが、これを守るだけで故障率は大幅に下がる。
まとめ
電子負荷の定格を守るためには、
電圧(V)・電流(A)・電力(W)すべてを確認し、P = V × I の計算を常に行うことが必須。
特に電力(W)超過は故障につながりやすいため、70〜80%を目安に安全マージンを確保することが重要である。
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