第1編:オシロスコープ基礎入門 ― 波形観測の原理と使い方の基本
オシロスコープは、時間的に変化する電気信号を「波形」として可視化する計測器です。
電圧がどのように変化しているかを瞬時に確認できるため、電子回路の開発、修理、教育など幅広い分野で活用されています。
しかし、実際に使ってみると「何をどう設定すればよいのか」がわかりにくいという声も多くあります。
ここでは、初めてオシロスコープを使う方にもわかりやすく、観測の基本を整理します。
オシロスコープの縦軸は「電圧(V)」、横軸は「時間(t)」を表します。
波形の高さは信号の電圧レベル、横方向の長さは時間経過を示します。
画面上に表示されるグリッド(目盛り)は、1マスあたりの電圧と時間を表しており、これを「スケール設定」と呼びます。
観測したい信号の大きさに合わせて、垂直軸(電圧)と水平軸(時間)のレンジを適切に調整することが、正しい波形観測の第一歩です。
もう一つ重要なのが「トリガ設定」です。
トリガは、波形を安定して表示させるための基準となる信号条件です。
設定が合っていないと、画面上の波形が流れて見えたり、乱れて表示されたりします。
例えば、矩形波(デジタル信号)を観測する場合は「立ち上がりエッジ」をトリガ条件にすると、毎回同じタイミングで波形を捉えられます。
現代のデジタル・オシロスコープは、波形を「サンプリング」してデジタルデータとして取り込みます。
このサンプリングレート(サンプル/秒)が高いほど、時間分解能が高くなり、細かい波形の変化を正確に記録できます。
ただし、レートが高すぎるとメモリを消費しやすくなるため、観測時間とのバランスも大切です。
安全面では、必ずプローブの接続方法を確認しましょう。
接地クリップの位置を誤ると、短絡(ショート)の危険があります。
測定対象とオシロスコープのグラウンドが共通かどうかを把握し、必要に応じて絶縁型プローブを使用します。
また、高電圧測定では定格を超えないよう注意が必要です。
観測した波形は、オシロスコープ内で計測・解析も可能です。
周波数・周期・立ち上がり時間・平均値・最大値などを自動測定できる機能を活用すると、定量的な評価が行えます。
教育や研究の現場では、これらの測定値をグラフ化して比較すると理解が深まります。
オシロスコープの基本操作を正しく理解することは、電子回路の学習やトラブルシューティングの第一歩です。
測定は安全に、そして波形の背後にある回路の動きをイメージしながら行いましょう。
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🌐 オシロスコープシリーズ(全3編)目次第1編:オシロスコープ基礎入門 ― 波形観測の原理と使い方の基本
・オシロスコープとは何か、電圧と時間の関係を視覚的に理解するための基本原理
・垂直軸・水平軸のスケール設定と波形観測の基本操作
・トリガ設定による波形の安定表示方法
・サンプリングレートとメモリ長の関係
・安全に測定を行うためのプローブ接続と注意点
第2編:オシロスコープ応用活用 ― FFT解析と波形解析の実践
・FFT(高速フーリエ変換)による周波数解析の基本
・時間波形と周波数波形を組み合わせた観測のコツ
・窓関数の種類と選び方、解析精度への影響
・自動測定機能を活用した波形比較・解析手法
・ノイズ源特定や電源特性評価への応用例
第3編:オシロスコープ教育応用 ― 実験室で学ぶ安全な波形観測
・RC回路・PWM波形・整流回路など、教育で扱いやすい実験テーマ
・学生実験における安全確認とアース接続の基本
・操作性・視認性に優れた教育用モデルのポイント
・波形が乱れたときに考えるべき要因とトラブル学習の意義
・安全教育と観測技術の両立がもたらす学習効果
製品情報
- 【新製品ニュース】12ビット高分解能モデル続々登場!OWONの多機能デジタル・オシロスコープ3シリーズを新たにラインアップ
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