USBオシロスコープ
USBオシロスコープは、パソコンにUSBで接続して動作するタイプのデジタル・オシロスコープです。表示・操作はPC上の専用ソフトウェアで行い、本体は小型・軽量で携帯性に優れています。教育用途や現場保守、モバイル測定環境に最適な製品です。
■ USBオシロスコープの基本構造
USBオシロスコープは、大きく以下の構成で成り立っています。
・本体部:信号を取り込むA/D変換回路、プローブ接続端子、USB I/Fなど
・PCソフトウェア:測定波形の表示、解析ツール、ファイル保存など
・接続ケーブル:USBケーブルでPCと接続し、電源供給と通信を兼ねるものが一般的
■ USB接続のメリット
・小型・軽量で省スペース:持ち運びが容易で、出張先や狭い作業場でも活用可能
・PC画面での快適な表示:高解像度ディスプレイで詳細波形が見やすい
・マルチウィンドウ操作:複数チャンネル波形を重ねて表示・解析が容易
・データ保存・共有が簡単:波形データやスクリーンショットを即座にPCへ保存、メール送信も可能
■ デメリットと制限
・PC依存:ソフトウェア動作にPCの性能やOS互換性が影響する
・ノイズの影響:USBから給電するため、安定性やノイズ耐性に限界がある機種も
・高帯域モデルは少ない:構造上、1GHzを超えるモデルは少なく、主に100MHz前後が主流
■ 用途に応じた活用例
・教育・トレーニング用途:学生実験や技術研修において、PCとの連携でレポート作成が容易
・フィールドサービス:現場で簡易的に信号波形を確認し、異常判断を迅速化
・開発支援:ノートPCと合わせてコンパクトな開発環境を構築可能
・データログ:長時間測定結果をPCに連続保存し、後処理やExcel連携も可能
■ OWON製のUSBオシロスコープ
OWONでは、教育・開発・保守用途向けに高コストパフォーマンスのUSBオシロスコープを展開しています。
【例:OWON VDSシリーズ】
・VDS1000/VDS6000などがラインアップ
・2chモデルから4chモデル、最高帯域100MHz、最大1GSa/sサンプルレートに対応
・ソフトウェアでFFT解析、トリガ設定、測定機能も網羅
・絶縁型モデル(VDS1022I)は、PC保護の観点からも安心して使える構成
■ ソフトウェア機能の特徴
・波形表示:時間軸拡大縮小、カーソル計測、XY表示
・解析機能:FFT、平均化、波形計算、統計処理など
・レポート作成:画像出力、CSV形式でのデータ保存、印刷対応
・アップデート性:メーカー提供の最新ソフトで随時機能追加やバグ修正が可能
■ 選定時のチェックポイント
・帯域幅・サンプルレート:観測対象の信号に対して十分か
・チャネル数:2chで足りるか、4ch以上が必要か
・絶縁仕様の有無:PCとの電気的アイソレーションが必要な環境かどうか
・対応OS:Windows専用か、Mac/Linuxでも動作するか
・付属ソフトの使いやすさ:日本語表示、直感的UI、測定精度など
■ まとめ
USBオシロスコープは、軽量・低価格でありながらPCとの高い親和性を持ち、モバイル測定や教育用途で大きな価値を発揮します。OWONのVDSシリーズは、信頼性と価格のバランスに優れ、初級から中級者まで幅広く対応しています。用途に応じた製品選びをすることで、コンパクトかつ柔軟な測定環境を構築できます。
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