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オシロスコープ 波形の読み方(実例付き) ― 正常波形と異常波形を見分ける基本
- 2025/10/14 -

オシロスコープ 波形の読み方(実例付き) ― 正常波形と異常波形を見分ける基本

オシロスコープは、電気信号を「時間」と「電圧」の関係として波形で表示する計測器です。
しかし、波形を見ても「どこが正常で、どこが異常なのか」がわからないという声も多く聞かれます。

ここでは、実際の観測シーンをイメージしながら、
波形の基本的な読み方と異常の見分け方をわかりやすく解説します。


波形を見る前に ― スケールと基準を確認する

まず、オシロスコープ画面に表示されているグリッド(目盛り)を確認します。
縦軸(Y軸)は電圧[V]、横軸(X軸)は時間[s]を表しており、1マス(div)あたりの値は設定で変わります。

・Voltage/Div:波形の高さ=電圧スケール
・Time/Div:波形の幅=時間スケール

観測した波形が「大きすぎて見切れている」「小さすぎて確認できない」場合は、
これらを調整して全体が画面に収まるようにします。


例1:安定した矩形波(デジタル信号)を見る

矩形波(スクエア波)は、ON(High)とOFF(Low)が交互に切り替わる代表的な信号です。

正常な波形では、
・HighとLowのレベルが一定
・立ち上がり・立ち下がりが明確
・周期が安定している
という特徴があります。

もし波形の高さがばらつく場合は、
電源リップルやノイズの混入が疑われます。
また、波形が斜めに立ち上がる(遅延する)場合は、
信号ラインに容量成分が多い、または負荷が大きい可能性があります。


例2:サイン波(交流信号)を見る

サイン波は、滑らかに上下するアナログ信号です。
オーディオ回路や電源装置の出力波形でよく見られます。

理想的なサイン波は、中央を基準に左右対称で、波の高さ(振幅)と周期が一定です。
もし上側がつぶれているように見える場合、アンプや電源の飽和が発生していることがあります。
逆に、波形の谷がノイズで揺れている場合は、
負荷変動や外来ノイズが原因かもしれません。


例3:パルス波形(スイッチング信号)を見る

スイッチング電源やPWM制御では、一定周期でHigh/Lowが切り替わるパルス波形が発生します。

このとき重要なのがデューティ比(Highの時間/周期全体)です。
デューティ比が変化することで、平均出力電圧が変化します。

もしパルスの間隔が乱れていたり、波形の立ち上がりが鈍い場合、
ドライバ回路の遅延やトランジスタの特性不良が考えられます。


例4:過渡現象(トランジェント応答)を見る

電子負荷を接続して電源に急な変化を与えると、一時的に電圧が上下に揺れることがあります。
これが過渡応答(トランジェント)です。

波形上では、
・負荷を加えた瞬間に電圧が一時的に下がる
・数ミリ秒後に元の電圧に戻る
といった挙動が見られます。

回路が安定しているほど、波形の揺れ幅が小さく、回復も早くなります。
逆に、波形が何度も上下に振動する場合は、制御ループの安定度に問題がある可能性があります。


波形の異常パターンから原因を探る

波形の状態 主な原因
ノイズが多い グラウンド不良・電源の揺らぎ
波形が上下に揺れる 負荷変動・制御ループ不安定
一部がつぶれる 飽和・過電流
波形が遅れて出る トリガ設定または回路遅延
波形が不連続 接触不良・信号断線

波形の形を観察するだけで、原因をある程度絞り込むことができます。
特に「いつ異常が発生するか」を時間軸で確認することが重要です。


トリガとカーソル測定で精密に確認

安定した波形を観測するには、トリガ(Trigger)設定を活用します。
立ち上がり(Rising)をトリガにすると、毎回同じタイミングで波形が固定されます。

また、カーソル測定を使えば、特定の区間の時間差・電圧差を正確に読み取れます。
これにより、立ち上がり時間(Tr)やパルス幅、周期などを正確に把握できます。


OWONオシロスコープの見やすさと実用性

OWONのデジタル・オシロスコープは、明るく高解像度なディスプレイと、
分かりやすいUIで波形の変化を直感的に理解できます。

さらに、
・自動測定(Auto Measure)機能
・波形保存・再生機能
・FFT解析(周波数スペクトル表示)
など、波形の特徴を多角的に分析できる機能が搭載されています。

教育・研究から製品評価まで、
「波形を見る・記録する・比較する」をワンステップで実現できます。


まとめ ― 波形を“読む力”がトラブル解決につながる

波形を読むということは、回路の動作を“理解する”ことにほかなりません。
安定した波形は、正しく設計された回路の証拠であり、
異常な波形は、次に改善すべきヒントを与えてくれます。

オシロスコープの波形を観察する習慣を持つことで、
トラブルを早期に発見し、設計品質を高めることができます。

OWONのオシロスコープは、
初心者にも扱いやすい操作性と高い表示精度で、
「波形を理解する楽しさ」を実感できる最適なパートナーです。