メモリ長とは?
オシロスコープのメモリ長(Memory Depth)とは、波形データを内部にどれだけ記録できるかを示す指標です。単位はポイント(pts)で表され、たとえば「10Mpts」なら1チャンネルで1,000万ポイントの波形を記録可能という意味になります。
メモリ長が長いほど、より長時間にわたる波形を高解像度で記録できるようになります。逆にメモリ長が短いと、細かな波形の変化を見逃す可能性があります。
■メモリ長の役割
オシロスコープでは、入力されたアナログ信号を一定間隔(サンプリングレート)でデジタル化してメモリに格納しています。このとき、どれくらいの長さの波形を記録できるかが、メモリ長によって決まるのです。
たとえば、サンプリングレートが100MSa/s(1秒間に1億サンプル)で、メモリ長が10Mポイントであれば、最大で0.1秒分の波形が記録可能です。
■時間軸を広げても波形が粗くならない
時間軸(Time/div)を広げると、波形を表示する画面上の範囲が長くなります。もしメモリ長が短いと、1画面に表示されるサンプル数が減ってしまい、波形が粗くなったり、細かい変化が見えなくなったりします。
メモリ長が長いと、時間軸を広く設定してもサンプリングレートを保ったまま詳細な波形表示が可能になります。
■ズームや解析にも有利
長いメモリ長を持つオシロスコープでは、記録した波形の一部をズーム(拡大)して詳細解析できます。これにより、全体の流れをつかみながら、一部分の異常点や微細な変化をピンポイントで観察することができます。
■サンプリングレートとメモリ長のバランス
波形の記録時間(T)は、以下の式で計算できます。
記録時間 T = メモリ長 ÷ サンプリングレート
つまり、サンプリングレートが高くなるほど、同じメモリ長でも記録できる時間は短くなります。一方、長時間の波形を詳細に記録したい場合は、より長いメモリ長が必要になります。
■複数チャンネル使用時の注意点
多くのオシロスコープでは、2チャンネル・4チャンネルなど複数の入力が可能です。ただし、同時に複数チャンネルを使用する場合、メモリが分割されることがあります。
たとえば、10Mptsのメモリを2チャンネルで使う場合、それぞれ5Mptsずつに自動的に割り当てられる場合があるため、注意が必要です。
■OWON製品におけるメモリ長の特徴
OWONのSDSシリーズやHDSシリーズなどでは、最大40Mpts〜最大250Mpts以上の大容量メモリを搭載したモデルもあります。
また、分割メモリ機能や長時間レコード再生など、実用的な活用を支える機能も備えており、トラブル発生時の詳細解析や波形異常の確認に非常に有効です。
■どんなときにメモリ長を活かす?
以下のようなケースでは、長いメモリ長が威力を発揮します。
・突発的なノイズを記録して原因を探るとき
・通信波形(I2C、SPI、UARTなど)を長期間にわたり観測したいとき
・スイッチング電源やパルス信号の挙動を詳細に確認したいとき
・一度のトリガで全体のイベントを捕捉して後で解析したいとき
■まとめ:メモリ長は“記録時間の余裕”
メモリ長は、オシロスコープにおける“記録時間の余裕”そのものです。サンプリング性能と合わせて、どれだけの期間をどれだけの解像度で記録・観察できるかを左右します。
OWON製オシロスコープの多くは、長時間測定にも対応した十分なメモリ長を備えており、教育・開発・現場保守など、幅広い用途で信頼性の高い波形観測を実現しています。
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