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デジタルマルチメーターの精度の見方
- 2025/7/2 -

精度とは何か?
デジタルマルチメーター(DMM)の「精度」とは、実際の値にどれだけ近い測定結果を表示できるかを示す性能指標です。
この精度はDMMの信頼性や用途に直結し、製品の仕様欄では「±(%rdg+digits)」という形式で表されます。

表示される精度表記の読み方
例えば「±(0.5%rdg + 2digits)」と書かれていた場合:
・0.5%rdg → 測定値の0.5%の誤差
・2digits → 表示最下位桁の±2カウント分の誤差
この2つを合算して、トータルの誤差として考えます。

具体例で考える
表示値が「12.00V」のとき、「±(0.5%rdg + 2digits)」という仕様なら:
・0.5% of 12.00V = 0.06V
・2digits(最小桁0.01Vの場合)= 0.01 × 2 = 0.02V
→ 合計誤差は ±(0.06 + 0.02)= ±0.08V
つまり、12.00Vという表示でも、実際の値は11.92V~12.08Vの可能性があります。

rdgとdigitsの違い
・rdg(reading)は表示された数値に対して比例的に増減する誤差
・digitsは機器の分解能による固定的な誤差
両方を合計して、はじめて正しい誤差の範囲が分かります。

桁数との関係性
DMMには「3½桁」「4½桁」などの表記がありますが、これはあくまで「分解能(読み取りの細かさ)」を示します。
精度とは別の概念であり、「高桁数=高精度」とは限らない点に注意が必要です。

レンジによる違い
測定するレンジによっても精度は変わります。
同じ電圧を測っていても、10Vレンジと100Vレンジでは表示される誤差の範囲が異なる場合があります。
測定対象に近いレンジを選択することで、精度を最大限に活かせます。

温度や経年変化の影響
精度は温度や経年変化にも左右されます。
多くのDMMは「使用温度範囲」や「年次変化率」が仕様に記載されており、信頼性を維持するには定期的な校正(キャリブレーション)が必要です。

まとめ
・精度表記は「±(%rdg + digits)」で記載される
・分解能(桁数)と精度は別のもの
・適切なレンジ選択が重要
・経年劣化や温度によっても影響を受ける
→ 測定値の信頼性を理解するには、仕様表の精度項目を正しく読み解くことが重要です。

 

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