■ファンクションジェネレータの使い方
ファンクションジェネレータは、正弦波や方形波などのさまざまな信号を生成できる装置で、電子回路の評価や教育現場で広く活用されています。ここでは、基本的な使い方から応用操作までを順を追って解説します。
■基本的な接続方法
ファンクションジェネレータは通常、出力端子(CH1やCH2など)からBNCケーブルで信号を取り出します。これを測定対象の回路に入力し、もう一方でオシロスコープに接続して波形を観測します。
出力の際には、出力インピーダンス(通常50Ω)に注意する必要があります。負荷が高インピーダンスの場合、電圧が仕様より高く出力されることがあるため、必要に応じて終端抵抗を使って調整します。
■基本波形と設定方法
多くのファンクションジェネレータは、フロントパネルにあるボタンやダイヤルで波形の種類を選択できます。一般的な波形は以下の通りです。
正弦波
交流信号の模擬やフィルタ回路の評価に用いられます。
方形波
デジタル信号やクロック信号の代用として使用されます。
三角波・ランプ波
増幅回路の直線性確認などで利用されます。
パルス波
パルス幅、立ち上がり/立下り時間を細かく調整できるため、タイミング検証に便利です。
ノイズ
上位モデルではノイズ信号の発生も可能で、EMC対策や誤動作試験に使われます。
■周波数と振幅の設定
波形の基本を設定したら、次に周波数と振幅を調整します。たとえば、1kHzの方形波を3Vpp(ピークツーピーク)で出力する場合、次のような設定を行います。
周波数:1000Hz
振幅:3Vpp(または1.5Vの振幅+−)
オフセット:必要に応じて0Vまたは特定の値に設定
オフセットとは、波形の基準電圧を上下にシフトする機能です。たとえば全体を0V中心ではなく+2Vを中心にしたい場合などに使用します。
■信号を出力して波形を確認する
設定が終わったら、出力端子を接続し、出力ボタン(OUTPUTやON/OFF)を押して信号を有効にします。オシロスコープのチャンネルで該当の端子を観測し、波形が意図通りに出ているかを確認します。
波形が崩れている、電圧が高すぎる、ノイズが多いといった場合には、以下を見直します。
出力インピーダンスの整合
負荷の入力特性に応じた設定かどうか確認します。
信号ケーブルの品質
シールドされたBNCケーブルを使用することでノイズを低減できます。
振幅設定とオフセット
必要以上の振幅になっていないかチェックします。
■応用的な機能の使い方
スイープ機能
周波数を一定の範囲で自動的に変化させる機能です。フィルタや共振回路の周波数特性測定に便利です。
バースト機能
一定の周期で数回だけ波形を出力するモードで、立ち上がり応答の観測などに使えます。
AM/FM変調
特定の搬送波に対して、外部信号や内部信号を使って振幅や周波数を変調できます。通信回路や無線機器の評価に使われます。
外部トリガ入力
外部のタイミング信号と同期させて波形を出力したいときに利用します。
■実際の用途例
アンプの周波数応答確認
正弦波をスイープ出力し、オシロスコープで出力電圧の変化を測定することで、ゲインの周波数特性を確認します。
ロジックICの入力確認
方形波をクロックとして供給し、マイコンやデジタルICが正しく応答しているか確認します。
センサ模擬入力
三角波やノイズなどを疑似センサ出力として与え、回路が誤動作しないか確認します。
■まとめ
ファンクションジェネレータは、基本的な波形信号を簡単に出力できる便利な計測器です。回路評価や実験、製品テストに幅広く活用されており、使い方をマスターすればさまざまなシーンで活躍します。まずは基本波形の出力と観測から始め、徐々にスイープやバーストなどの応用機能を試してみると良いでしょう。
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