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ハンドヘルド型 vs 据え置き型:スペクトラムアナライザの形状別メリット比較
- 2025/7/6 -

ハンドヘルド型 vs 据え置き型:スペクトラムアナライザの形状別メリット比較


スペクトラムアナライザにも「形」がある

スペクトラムアナライザ(スペアナ)は、無線信号の周波数成分を可視化できる計測器として、開発現場や教育機関、品質保証の現場で広く使用されています。
その形状には大きく分けて**「ハンドヘルド型(携帯型)」と「据え置き型(ベンチトップ型)」の2種類**が存在し、それぞれに明確な特徴と用途があります。

この記事では、両タイプの違いとメリット・デメリットを比較しながら、使用目的に応じた選定ポイントを解説します。


ハンドヘルド型スペクトラムアナライザの特徴とメリット

ハンドヘルド型とは、片手で持ち運べるサイズと重量で、バッテリー駆動が可能なスペアナを指します。近年では、屋外測定や現場調整のニーズに応じて多くのモデルが登場しています。

【主な特徴】
軽量(1kg前後)、コンパクト、バッテリー駆動
屋外や設備現場での持ち運びに最適
USBやSDカードによるデータ保存に対応
耐環境性の高い筐体が多い(防塵・耐衝撃)

【主なメリット】
どこでも使える機動力
電波調査やアンテナ設置現場など、場所を選ばず使用可能。高所作業や車載調査にも向いています。

バッテリーで数時間動作可能
電源が確保しにくい環境でも連続測定が可能。インフラ保守や屋外評価でも活躍します。

収納性が高く、作業スペースを取らない
デスクを圧迫せず、保守用バッグなどにそのまま収納可能。必要なときにすぐ取り出せます。

【導入例】
電波環境調査(通信キャリア、電波法対応)
屋外アンテナの方向確認や干渉対策
移動体通信の実地評価(車両搭載で走行中測定)
サービスエンジニアの現地トラブル対応用として


据え置き型スペクトラムアナライザの特徴とメリット

据え置き型とは、主にAC電源駆動で、高性能な信号解析に対応するベンチトップ型のスペアナを指します。研究開発や検査工程で主に使用され、画面サイズや演算性能に優れます。

【主な特徴】
高分解能・広帯域・低ノイズフロアなど、解析性能に優れる
大型画面で視認性が高く、操作性に優れる
通信規格対応の高度な解析機能(OBW、ACP、EMIなど)を搭載
自動化やネットワーク制御に対応したモデルが多い

【主なメリット】
測定精度と性能が圧倒的に高い
微弱信号の観測、通信プロトコル測定、規格試験の事前評価など、正確性が求められる場面で威力を発揮。

多機能で分析性に優れる
複数の測定モードやフィルタ設定、トリガ制御、マーカ比較など、柔軟な測定が可能。トレース比較やレポート出力も効率的です。

インターフェースが豊富
LAN、USB、HDMIなど外部接続端子が豊富で、自動測定やデータ収集、PCとの連携にも適しています。

【導入例】
無線通信機器の研究開発・ファーム検証
品質保証工程でのスプリアスチェック
EMI対策やプリスキャン用の信号解析
教育機関での工学実験や信号比較学習


どちらを選ぶべきか?用途別選定ガイド

【フィールド作業・移動用に使いたい】
→ ハンドヘルド型
→ 屋外での作業が多い方、持ち運び重視のユーザー向け

【高精度な信号解析が必要】
→ 据え置き型
→ EMI評価や通信規格の前段階測定、微弱信号の検出など精度重視の用途に適す

【コストを抑えてまず導入したい】
→ エントリークラスの据え置き型またはハンドヘルド型
→ 10〜40万円台のモデルも多く、必要最低限の機能をカバー可能

【教育用途で学生に触らせたい】
→ ハンドヘルド型 or コンパクトな据え置き型
→ 安全性・操作性が重視される場面では軽量なモデルが好まれます

 


まとめ:測定環境に合わせた選定がカギ

スペクトラムアナライザの選定では、形状の違いがそのまま使用感や効率に大きく影響します。

ハンドヘルド型は「いつでも・どこでも」
据え置き型は「正確に・深く」

という使い分けが基本です。

近年は、据え置き型でも小型軽量化が進み、USB保存や自動測定機能など、両者の境界が徐々に曖昧になりつつあります。それでも、測定現場のニーズに合った選択が、結果的に業務効率と測定精度を大きく左右します。

ぜひ本記事を参考に、あなたの使用環境にぴったりのスペクトラムアナライザを見つけてください。

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