ファンレス静音!実験室向けDC電源SPSシリーズ活用術
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静かな実験環境を保つために求められるDC電源とは
実験室や研究施設、教育現場では、「音が静かであること」が測定精度や集中力に直結する重要な要素です。
PCファンや機器の動作音が少ない環境では、繊細なアナログ測定や無音が求められる音響関連実験、あるいは学生の集中を要する実習などで大きな効果を発揮します。
その中で注目されているのが、ファンレス設計の直流電源です。中でもOWON SPSシリーズは、静音性・性能・コストのバランスに優れたモデルとして評価されています。
本記事では、SPSシリーズの特徴や使い方、導入メリットについて解説します。
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SPSシリーズの基本構成と仕様
OWON SPSシリーズは、1チャンネル構成のコンパクトDC電源です。300W未満の出力レンジに対応しており、研究・評価・教育用途にちょうど良いスペックを備えています。
【代表モデル】
SPS3081:最大31V/8.1A/120W
SPS6051:最大61V/5.1A/150W
【共通仕様】
・出力分解能:10mV/1mA
・ファンレス設計(完全無音)
・過電圧・過電流保護機能付き
・前面パネルでの簡単操作
・2.4インチLCDディスプレイ表示
・サイズ:約88mm × 148mm × 235mm
・重量:約1.6kg
高精度な制御と基本的な保護機能を備えつつ、ファンを一切搭載していないため静音性が圧倒的。それでいて、導入価格も比較的安価で抑えられています。
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SPSシリーズが選ばれる理由:“音がしない”の価値
ファンレス設計がもたらす最大の利点は、なんといっても「無音環境の実現」です。
ファンがある電源装置では、通電時に一定の回転音や振動が発生します。これが複数台重なると、実験室全体が常時ノイズにさらされることになります。
対してSPSシリーズは、パッシブ冷却構造により駆動音ゼロで運転可能。以下のような現場では特に効果を発揮します。
・音響実験室(ノイズフロアの低減)
・化学/物理実験室(集中力の維持)
・大学や高校の教室(学習環境の改善)
・医療機器の開発現場(微弱信号の測定)
静音性を重視する測定・教育環境において、SPSシリーズは非常に有力な選択肢となります。
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基本機能も十分:実験用としての信頼性
SPSシリーズは静音性だけでなく、DC電源としての基本性能も高水準にあります。
・CV/CCモード自動切り替え
・10mV/1mAの分解能で微細な電圧・電流制御が可能
・安定した出力波形と低リプル設計
・過電圧(OVP)・過電流(OCP)保護付き
・電源設定値と実測値のLCD同時表示
これにより、回路試験や部品評価、モーター駆動のような動的負荷にも安定して対応できます。ファンレスといっても出力が弱いわけではなく、日常的な実験・評価用途には十分な性能を誇ります。
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こんな用途におすすめ:導入シーン例
SPSシリーズは以下のようなシーンで特に効果を発揮します。
教育現場での電子回路実習
→ 作動音がないため、学生の注意がそがれず、複数台導入しても快適に運用可能。
アナログ回路の微小信号測定
→ ノイズの影響を極力避けたい場合に、機器側からの物理的ノイズを完全に排除できます。
音響・マイク系の試験設備
→ オーディオ回路やセンサーのテストにおいて、静音環境を維持したまま安定供給が可能。
小型実験台での常設電源
→ 軽量・コンパクト設計のため、省スペースに配置しやすく、移動も容易です。
個人ラボや在宅ワークベンチ
→ 狭いスペースでも安心。音が出ないので家庭内でも時間を問わず使えます。
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SPE・SPMシリーズとの違いと比較ポイント
OWONの他の直流電源シリーズと比較した場合、SPSシリーズは以下の点で差別化されています。
【SPEシリーズとの違い】
・SPEはファン搭載で高出力安定性が高いが、動作音が出る
・SPSは静音性に特化し、やや控えめな出力レンジ
【SPMシリーズとの違い】
・SPMは出力+測定表示の1台2役モデルで視認性に優れる
・SPSはシンプルで静かな操作性と安定動作を重視
総じて、SPSシリーズは**「音がしないこと」と「使いやすさ」に特化した、シンプルかつ信頼性の高い電源装置**といえます。
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まとめ:静音・安定・高コスパの三拍子がそろったSPSシリーズ
OWON SPSシリーズは、ファンレスによる完全静音設計でありながら、実験室や教育現場で必要とされる電源性能をしっかりと満たしています。
・音を出さない静かな電源がほしい
・限られた予算内で高精度のDC出力を確保したい
・簡単に使えて、長時間の運用にも耐える機種がほしい
そんなニーズに応える、省スペース型の直流電源として、SPSシリーズは非常に魅力的です。
実験室や教室の環境を一段と快適にしたいとお考えの方は、ぜひ一度この静かさを体感してみてください。
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