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OWONの「TAO3000シリーズ」は、4チャンネル入力に対応したタブレット型のデジタル・オシロスコープです。タッチパネルとバッテリー駆動を特徴とし、可搬性と直感的操作性を兼ね備えた次世代測定器として注目されています。本記事では、TAO3000シリーズの主な機能や使い方、実際の活用シーンなどを解説します。
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タブレットスタイルで操作性と可搬性を両立
TAO3000は、一般的なベンチトップ型のオシロスコープとは異なり、フラットでコンパクトな筐体にタッチパネルを搭載したタブレット型のデザインを採用しています。視認性の高い大型液晶ディスプレイと、タッチ操作による直感的な設定変更が可能で、測定現場での作業効率が格段に向上します。
また、背面にはスタンドがついており、設置角度を調整することで長時間の作業でも快適な表示が得られます。
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最大250MHzの帯域幅と4チャンネル入力
TAO3000シリーズのモデルには、最大250MHzまでの帯域幅と2GS/sのサンプルレートを持つバリエーションがあります。いずれも4チャンネルのアナログ入力を搭載しており、複数の信号を同時に観測・比較することができます。
複数チャンネルによる測定は、アナログ回路の動作確認だけでなく、デジタル信号のタイミング解析や、異なる信号間の関連性を把握する際にも有効です。
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バッテリー搭載で屋外やフィールド測定にも対応
TAO3000はリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、電源のない環境でも測定作業が行えます。最大駆動時間は約4時間(使用状況により変動あり)で、現場調整や出張先での計測業務にも対応します。
バッテリーは本体側面のDC端子からの充電が可能で、充電しながらの測定にも対応しています。
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多彩なトリガと自動測定機能で効率的な波形観測
TAO3000には、エッジ・ビデオ・パルス・スロープ・オルタネート・ウィンドウ・エンターパラメータなど、多様なトリガ機能が用意されています。これにより、特定のイベントや異常信号を確実に捉え、安定した波形観測が可能となります。
また、周期・周波数・パルス幅・RMS・デューティ比・立ち上がり時間・遅延時間など、40種類以上の自動測定項目を搭載しており、測定効率が大きく向上します。
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FFT解析機能で周波数領域の確認も簡単
TAO3000は、FFT(高速フーリエ変換)機能を標準装備しています。時間領域の波形を周波数領域に変換することで、ノイズ解析やスペクトル特性の把握に役立ちます。
表示単位はVrmsやdBに切り替え可能で、Hanning、Blackman、Flat-topなどの窓関数も選択可能です。操作はタッチパネルで行えるため、初心者でも簡単に周波数解析が行えます。
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USBメモリや内部ストレージによるデータ保存
測定した波形データやスクリーンショットは、USBメモリや内部ストレージに保存できます。ファイル形式はCSV、BIN、BMP、PNGなどに対応しており、PCへ転送して後から解析・共有することも容易です。
ワンタッチで保存できる「Save」ボタンもあり、報告書用の資料作成にも便利です。
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PC接続やリモート制御にも対応
本体にはUSB Type-Cポートが搭載されており、PCと接続してOWONの専用ソフトウェアを使えば、リモート操作や波形データの取得が可能です。遠隔からの制御や自動測定システムとの連携に活用できます。
また、ファームウェアアップデートもこのUSB接続を通じて行うことができます。
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プローブ設定とキャリブレーションのポイント
標準付属のプローブは1X/10Xの切替式で、本体側でもチャンネルごとに減衰比を設定可能です。表示される電圧値に影響するため、プローブと本体設定が一致していることを確認しましょう。
また、「Self Cal(セルフキャリブレーション)」機能を使えば、内部の較正を自動で実行でき、温度変化などによる誤差を最小限に抑えることができます。
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主な用途と導入メリット
TAO3000シリーズは、以下のような現場で特に有効です。
・開発や評価部門における信号測定
・教育現場での電子工学実習
・電源環境のない現場でのフィールド測定
・メンテナンスや故障解析の場面
・携帯性と直感操作を求めるプロユーザー
従来型オシロスコープに比べて省スペースかつ高機能であり、特にモバイル性と柔軟な運用性を重視するユーザーにとって最適な選択肢となります。
■まとめ
OWON TAO3000シリーズは、4チャンネル対応の高性能デジタル・オシロスコープでありながら、タブレット型という革新的な設計により、従来の測定器にない柔軟性を提供します。屋内外問わず使えるバッテリー駆動、直感的なタッチ操作、FFT解析や自動測定などの多彩な機能を備えており、開発・教育・保守あらゆる場面で活躍できる製品です。
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