English  中文站
300Wクラスで選ぶ直流電源ベスト3:SPE・SPM・SPS比較
- 2025/7/6 -

300Wクラスで選ぶ直流電源ベスト3:SPE・SPM・SPS比較


はじめに:300WクラスのDC電源は実験・開発に最適な中核モデル

電子回路の開発や評価、実験において、出力300Wクラスの直流電源は「ちょうどいいスペック」として多くの現場で採用されています。
小型ながら十分な出力を確保できるため、測定器の駆動、電子負荷の供給源、通信機器の安定動作など幅広い用途で活用されます。

OWONでは、このクラスに複数のラインアップを展開しており、代表的なのが次の3シリーズです。

・SPEシリーズ(堅牢な定番電源)
・SPMシリーズ(表示機能付きマルチ機能電源)
・SPSシリーズ(ファンレス静音設計)

本記事では、これら3シリーズを仕様・価格・使い勝手の面で比較し、ニーズ別に最適なモデルを紹介します。


比較対象その1:SPEシリーズ(最大出力300W・拡張性重視)

SPEシリーズは、OWONの中でも古くから展開されている信頼性の高いDC電源シリーズです。安定した出力性能と高い応答性が特徴で、開発現場や評価工程でも長く使用されてきました。

【代表モデル】
SPE6053(60V / 5A / 300W)
SPE3103(30V / 10A / 300W)
SPE6103(60V / 10A / 300W)

【主な特長】
・10mV / 1mAの出力分解能
・過電圧、過電流、過熱の各種保護搭載
・3組のプリセット設定を保存可能
・USB接続によるSCPI制御対応
・2.8インチLCD搭載、視認性良好

【メリット】
・300Wでも幅広い電圧/電流選択肢あり
・操作性に優れ、ベンチトップ向き
・長時間安定供給に強い

【こんな方におすすめ】
・汎用性が高く、長期間使える「基幹電源」を探している方
・多様な電圧・電流パターンを試したい開発担当者


比較対象その2:SPMシリーズ(測定表示機能つき・省スペース重視)

SPMシリーズは、出力機能に加えて「リアルタイム測定表示機能」を搭載した1台2役のDC電源です。電源としての役割と、マルチメーター的な計測確認を1台でこなせるのが最大の魅力です。

【代表モデル】
SPM6053(60V / 5A / 300W)
SPM3103(30V / 10A / 300W)
SPM6103(60V / 10A / 300W)

【主な特長】
・出力と測定表示を同時に可能
・10mV / 1mA分解能
・CV/CCモード自動切替
・USB経由でPC制御可能
・バックライト付きLCD表示パネル

【メリット】
・出力電圧/電流の確認が簡単にできる
・別途テスターを用意せずとも計測可能
・省スペースかつ操作性に優れる

【こんな方におすすめ】
・実験やトラブル対応で現場作業が多い方
・電源と測定を簡易にまとめたい個人ユーザー
・教育現場や学生実習でも直感的に使いやすいモデル


比較対象その3:SPSシリーズ(ファンレス静音・低価格志向)

SPSシリーズは、低ノイズ・ファンレス設計が特徴のDC電源です。静音性を重視した実験環境や、連続稼働時の熱と音の対策が求められる場所で特に重宝されます。

【代表モデル】
SPS6051(60V / 5.1A / 150W)
※300Wモデルは未展開のため、近似モデルとして比較

【主な特長】
・完全ファンレス設計
・10mV / 1mAの高分解能出力
・過電圧、過電流保護搭載
・コンパクトかつ軽量設計
・低価格設定で導入しやすい

【メリット】
・音が静かで実験環境を乱さない
・機械内部にホコリが入りにくい
・ベーシック機能に特化しているためシンプルに扱える

【こんな方におすすめ】
・音の静かな測定環境を重視したい方
・制御や表示機能よりコスパ優先の導入を考える方
・スペースに制限がある研究机や教卓での運用


仕様一覧比較:SPE・SPM・SPS(300Wクラス)

比較項目 SPEシリーズ SPMシリーズ SPSシリーズ(150W)
最大出力 300W 300W 150W
電圧レンジ 最大60V 最大60V 最大60V
電流レンジ 最大10A 最大10A 最大5.1A
測定表示機能 なし あり なし
ファン音 あり あり なし(静音)
USB制御 対応 対応 非対応
SCPIコマンド 対応 対応 非対応
本体重量 約1.8kg 約2kg 約1.6kg
価格帯 約19,800〜22,000円 約28,600〜33,000円 約26,400円



結論:重視するポイントで選ぶ300Wクラスの最適解

300Wクラスの直流電源を選ぶ際、どのモデルがベストかは「何を重視するか」で変わります。以下に簡単にまとめます。

■高信頼性と汎用性を重視するなら:SPEシリーズ
→ 豊富なモデルと高安定性。研究開発向けの基幹モデル。

■操作性と測定表示の手軽さを重視するなら:SPMシリーズ
→ 電源+モニタ表示の1台2役。作業効率の向上を狙うなら最適。

■静音性と価格重視なら:SPSシリーズ
→ 小型、ファンレスで導入コストも抑えられる省スペース電源。

どのシリーズにもOWONらしい「価格以上の機能性」が詰め込まれており、いずれも現場やユーザーの声に応える優れた製品です。

用途・環境・目的に応じて、最適な1台を選定いただく参考になれば幸いです。


もっと用語集