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高電圧プローブで安全に測定する方法
- 2025/7/1 -

高電圧プローブとは?

高電圧プローブとは、オシロスコープ本体の許容入力電圧を超える信号を、安全かつ正確に測定するためのアクセサリです。
一般的なオシロスコープの入力レンジは±20V〜±300V程度ですが、高電圧プローブを使えば、数百ボルト〜数千ボルトまでの電圧を分圧し、信号の波形を安全に観測できます。
電力回路、インバータ、モーター駆動回路、EV・産業機器など、高電圧が扱われる現場では不可欠なツールです。

使用前に確認すべきポイント

高電圧プローブを使用する前に、以下の点を必ず確認しましょう。

  • 最大測定電圧:プローブの仕様に記載されている「CAT II 1000V」「CAT III 600V」などの安全カテゴリと定格電圧を確認

  • 分圧比:多くの高電圧プローブは100:1や1000:1の分圧比となっており、オシロスコープ側の設定を合わせる必要があります

  • 入力インピーダンス:接続先回路への影響を抑えるため、十分に高いインピーダンスかを確認

  • 接地方法:誤った接地は感電・回路損傷のリスクを伴うため、正しいグラウンドポイントの確認が必須です

安全な測定手順

高電圧プローブでの測定時は、以下の手順を守ることで安全性が確保されます。

  1. オシロスコープのプローブ設定を確認
     測定前にオシロスコープのプローブ設定で「100:1」や「1000:1」などの分圧比を選択します。
     これにより、実際の電圧値が正確に表示されます。

  2. プローブ本体とケーブルの絶縁状態を確認
     断線や被覆の破れがないか、外観チェックを必ず行うことが大切です。

  3. 適切なグラウンド接続
     グラウンドは回路の低電位点に接続し、誤ってライン側(高電位側)に接続しないよう注意します。
     プローブのグラウンドクリップを短くし、ノイズや共振を防ぐのも有効です。

  4. 被測定回路の電源OFF状態で接続
     プロービングは、必ず回路の電源を切った状態で行います。
     測定ポイントに接続後、回路の電源を投入して観測を開始します。

  5. 必要に応じて絶縁型プローブを使う
     フローティング測定(接地電位が浮いている)や、両端間電圧の測定には、光アイソレーション型差動プローブなどの使用を検討します。

感電・機器破損を防ぐために

高電圧測定における最大のリスクは、感電・火災・計測器の損傷です。
以下の点に特に注意が必要です。

  • プローブのカテゴリに合わない用途で使用しない(例:CAT II用プローブをCAT III配電盤で使用しない)

  • **被測定信号がスパイク性の高い場合(過渡サージ)**には、耐圧に余裕を持ったプローブを選定

  • 周囲の絶縁環境(テーブルが金属製か、湿度が高いかなど)にも配慮が必要です

代表的な高電圧プローブの例

OWONや他の計測器ブランドでは、下記のような高電圧プローブが販売されています。

  • DP10007(100:1、最大DC700V)

  • DP10013(1000:1、最大DC13kV)

  • DP1001(高周波対応、高電圧差動プローブ)

用途に応じて、周波数帯域・差動/シングルエンド・最大測定電圧・絶縁方式などを考慮して選びましょう。

まとめ:高電圧測定は「知識+適切なプローブ+正しい操作」で安全に

高電圧プローブは、正しく選び、正しく使えば非常に安全で便利なツールです。
しかし、使い方を誤ると重大な事故につながるため、測定対象・プローブ仕様・操作手順をしっかり理解してから使用することが大前提です。
教育現場では安全指導の一環として、高電圧測定の前に実習やデモンストレーションを行うことも推奨されます。

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