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SIGLENT・RIGOL・OWONのオシロスコープを比較するポイント
- 2025/10/7 -

SIGLENT・RIGOL・OWONのオシロスコープを比較するポイント

オシロスコープ市場には多くのメーカーが存在しますが、日本国内で特に人気が高いのが「SIGLENT(シグレント)」「RIGOL(リゴル)」「OWON(オウオン)」の3ブランドです。これらはいずれもコストパフォーマンスに優れた製品群を展開しており、教育、研究開発、メンテナンス、電子工作など幅広い分野で採用されています。しかし、同じデジタル・オシロスコープでも、それぞれのブランドには得意分野や設計思想に違いがあります。ここでは、それぞれの特徴と選定のポイントを整理します。

まず、3ブランドに共通しているのは「使いやすさ」と「高性能化の進展」です。いずれもデジタル信号処理技術の発達により、波形更新レートやメモリ長、FFT解析などの機能を一般価格帯で実現しています。以前は高級機でしかできなかった測定や波形解析が、よりコンパクトな機種でも行えるようになった点が共通の特徴です。これにより、大学の研究室や教育機関、企業の開発現場などでも導入が進んでいます。

SIGLENTは、研究開発や評価用途に向けた中~上位クラスのラインアップが充実しています。広い帯域幅、安定した波形更新速度、そして豊富な解析機能が特徴です。高精度なA/Dコンバータを搭載した12ビットモデルや、通信解析機能を備えたハイエンド機もあり、電源評価やEMC対策、RF関連の測定にも適しています。また、操作画面が整理されており、複雑な波形解析でも視覚的に理解しやすい設計が評価されています。安定性と信頼性を重視する研究機関やエンジニアに選ばれる傾向があります。

RIGOLは、長年にわたりエンジニア教育や一般技術者向けに普及してきた実績のあるブランドです。帯域幅と価格のバランスが良く、モデルごとに明確な位置づけがあります。操作体系が分かりやすく、初めてオシロスコープを使う方でも比較的短時間で慣れることができます。波形解析や自動測定機能が充実しており、教育・実習・メンテナンスなど幅広い分野で利用されています。特に、スタンダードモデルの豊富さとアクセサリの入手しやすさが強みです。

OWONは、コンパクトでコストパフォーマンスに優れた製品を多数展開しているブランドです。教育機関や個人ユーザー、電子工作の分野で人気があります。ベンチトップ型のほか、ハンディ型やPC接続型など携帯性の高いモデルもあり、用途に合わせた選択が可能です。視認性の高いディスプレイと直感的なタッチ操作を採用しているモデルもあり、短時間で波形を確認したい実験や点検用途に向いています。シンプルな構成ながら必要な機能をしっかり備えており、基本操作を学ぶ教育用途にも適しています。

この3ブランドを比較する際のポイントは、「測定目的」と「環境」にあります。たとえば、企業の開発部門で高精度な信号解析を行う場合は、広帯域でノイズ性能の高いモデルを選ぶ必要があります。その点では、SIGLENTの上位機が安定した解析性能を提供します。一方で、学生実験やメンテナンスなど、基本波形の確認が中心であれば、OWONやRIGOLのコンパクトモデルでも十分な性能を発揮します。操作性や画面の見やすさを重視するか、通信機能や解析機能を重視するかによって、選ぶ方向性が変わります。

価格面では、3ブランドともに幅広いラインアップを持っています。エントリーモデルでは10万円未満のものも多く、個人ユーザーでも導入しやすいのが特徴です。中位機種になると、帯域幅200~500MHz、サンプリング1GSa/sクラスが中心で、研究開発や品質評価などに対応できます。上位モデルでは、GHzクラスの帯域やマルチ解析機能を備え、より専門的な分野で使われます。いずれのブランドも、価格と機能のバランスが明確で、予算に応じた選択がしやすい構成です。

操作性の面では、RIGOLが物理ボタンとソフトキーのバランスが良く、従来型オシロスコープに慣れた技術者にも扱いやすい設計です。SIGLENTはUIが整理され、複数波形を扱う場面でも表示が見やすく、研究現場での効率性に優れています。OWONはタッチ操作対応モデルも多く、教育や現場作業で直感的に使える点が魅力です。用途に応じて「操作のしやすさ」も重要な比較要素になります。

サポート体制についても、近年は国内代理店による技術支援が充実してきています。SIGLENT、RIGOL、OWONはいずれも国内正規代理店を通じて製品提供が行われており、技術相談や修理対応が可能です。教育機関向けには、校正書類の発行やトレーニング支援が提供される場合もあります。購入時には、メーカーだけでなくサポート体制を含めた比較を行うことが安心です。

最終的にどのブランドを選ぶかは、求める性能と使用環境によって決まります。高精度測定を重視するならSIGLENT、実用性と汎用性のバランスを取るならRIGOL、コストと携帯性を重視するならOWONが向いています。いずれのブランドも、基本的な波形観測性能は十分に備えており、正しく選べばどの製品でも確実な測定が可能です。

オシロスコープ選定においては、スペックの数値よりも「使う目的」に合わせた判断が大切です。3ブランドの特性を理解し、自分の環境に最も合う一台を選ぶことで、日常の測定や実験がより効率的で確実なものになります。




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