OWON SDS1104 4チャンネル・デジタル・オシロスコープの特長と使い方解説
OWON製「SDS1104」は、100MHz帯域幅と4チャンネル入力に対応したコストパフォーマンスに優れたデジタル・オシロスコープです。最大1GS/sのサンプルレートやFFT解析、豊富な自動測定機能を備えており、教育用途から開発現場まで幅広く活用されています。本記事では、SDS1104の主な機能や操作のポイントを詳しく解説します。
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1. 4チャンネル入力で複雑な波形解析もラクラク
SDS1104は4つの独立した入力チャンネルを持ち、それぞれを個別にON/OFFしたり、スケール・カップリングを設定することができます。複数の信号を同時に表示できるため、デジタル回路の同期確認やアナログ信号の比較など、複数波形の観測にとても便利です。
チャンネル間の絶縁はされていないため、プローブ接続時には共通のグラウンドを取る必要があります。
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2. プローブ減衰比の設定に注意
標準付属のプローブは1X/10X切替式です。オシロスコープ本体側の設定とプローブ本体のスイッチが一致していないと、測定電圧が正しく表示されません。CH1〜CH4のボタンを押し、[Probe]設定から10Xを選択するのが基本となります。
1X設定では帯域が5MHzに制限されるため、通常は10Xでの使用が推奨されます。
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3. 初心者でも安心のオートセット機能
「Autoset」ボタンを押すだけで、入力信号に合わせて垂直・水平スケール、トリガ条件などを自動で設定してくれます。信号の周期や振幅がある程度明確な場合は、初回測定で非常に役立つ機能です。
波形がすぐに画面に表示され、そこから手動でスケールや位置を微調整することも可能です。
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4. FFT解析で周波数成分の確認も可能
SDS1104はFFT(高速フーリエ変換)機能を内蔵しており、時間領域の波形を周波数スペクトルに変換して表示することができます。Hamming、Blackman、Kaiserなど6種類の窓関数に対応し、信号の特性に応じて選択可能です。
FFTの表示単位もVrmsまたはdBから選べ、簡易的なスペクトラムアナライザとしても活用できます。
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5. 自動測定は最大39種類に対応
本機種は、周期・周波数・RMS値・ピーク・パルス幅・立ち上がり時間など、最大39種類の自動測定機能を搭載しています。測定したい項目を選んでAddするだけで、画面左下に常時表示されるため、データ収集やレポート作成にも便利です。
特に周波数と周期は、多くのユーザーにとって頻繁に活用される項目です。
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6. USBメモリでの波形保存にも対応
本体前面にはUSBホストポートがあり、USBメモリを接続して波形データ(BIN/TXT/CSV形式)やスクリーンショット(BMP形式)を保存できます。保存した波形は、OWON付属のソフトウェアで読み込み・再解析が可能です。
また、[Copy]ボタンでワンタッチ保存も可能。現場作業や報告資料作成時に重宝します。
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7. PCとの通信でリモート制御も可能
リアパネルのUSBデバイスポートを使えば、付属ソフトウェアと接続してPC上で波形のリアルタイム表示や保存が可能です。初回はドライバのインストールが必要ですが、設定は簡単で、遠隔からの波形取得や解析に対応できます。
研究用途や自動テストシステムとの連携にも適しています。
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8. セルフ・キャリブレーションで精度維持
環境温度が5℃以上変化した場合は、「Self Cal」機能でセルフ・キャリブレーションを実施しましょう。これにより内部の測定精度を維持し、長期間の安定運用が可能となります。
校正前には、すべてのチャンネルからプローブやケーブルを取り外す必要があります。
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9. 波形演算機能で加算・減算などの解析も
CH1+CH2やCH2−CH3といった基本的な加減算、乗算・除算、さらにFFT解析を含む演算機能を備えています。演算波形は画面にピンク色の「M波形」として表示され、信号処理やノイズ成分の抽出に役立ちます。
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10. 軽量・コンパクト設計で持ち運びも安心
本体サイズは約301×152×70mm、重量も約1.1kgと軽量です。省スペースな設置や持ち運びに適しており、教育機関や現場測定でも活躍します。
■まとめ
OWON SDS1104は、手頃な価格帯でありながら、多機能かつ実用的な4チャンネル・オシロスコープです。基本測定からFFT解析、PC連携まで対応しており、ビギナーから中級者まで幅広いユーザーにおすすめできます。正しいプローブ設定と測定モードの理解により、その性能を最大限に活かすことができるでしょう。
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