位相測定とは
位相測定とは、2つ以上の信号間のタイミングのずれ(位相差)を角度(度またはラジアン)で定量的に評価する測定手法です。主にオシロスコープやネットワークアナライザで行われ、交流信号の同期性、遅延、特性インピーダンスの影響などを把握するのに用いられます。
基本概念
■ 位相は、同一周波数を持つ2つの周期波形間のずれを角度で表したもの
■ 1周期を360度とし、時間差を基に角度に換算
■ 例えば、1MHzの信号において500nsの遅れは180度の位相差に相当する
測定方法の例
■ オシロスコープで2チャンネルに信号を入力し、ゼロクロス点またはピーク点の時間差を測定
■ 周波数がわかっている場合、時間差から位相角を計算(位相 = 時間差 × 周波数 × 360°)
■ Lissajous(リサージュ)図形を使って位相差を視覚的に確認する方法もある
■ ベクトルネットワークアナライザでは、Sパラメータの角度成分から直接位相を取得可能
使用シーン
■ 発振回路やフィルタ回路の伝達特性評価
■ クロック信号の整合性チェック
■ デジタル信号のタイミング評価
■ 高周波回路における遅延解析や伝送路評価
メリット
■ 回路間の時間的整合性や伝達特性の確認ができる
■ フィルタやアンプの周波数応答解析に必須
■ RF測定においてはS21やS11などの複素成分を用いた高度な解析が可能
注意点
■ 基準信号と比較信号の周波数が完全に一致している必要がある
■ 測定タイミングやサンプリング精度により誤差が生じる場合がある
■ ノイズが多い場合、ゼロクロスやピークの判定が不安定になることがある
まとめ
位相測定は、回路や信号伝送のタイミング特性を理解するために不可欠な技術です。高精度なオシロスコープやネットワークアナライザを用いることで、信号間のずれや伝送特性を正確に評価でき、回路設計やトラブルシューティングにおいて重要な役割を果たします。
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