ファンクションジェネレータの選び方
ファンクションジェネレータは、電子回路にさまざまな波形を出力して動作確認や評価試験を行うための基本的な測定器です。市場には低価格なエントリーモデルから高機能なハイエンドモデルまで幅広く存在しており、どれを選ぶべきか悩むことも多いでしょう。ここでは用途や性能に応じた選定ポイントを紹介します。
■波形の種類と数
最も基本となるのが出力できる波形の種類です。サイン波、方形波、三角波、ランプ波、ノイズ波などが標準的な波形で、多くの機種が対応しています。さらに、任意波形(Arbitrary Waveform)機能が搭載されていれば、ユーザーが自由に波形を定義して出力することもできます。
高周波成分を含む複雑な信号を模擬する場合や、センサ信号を再現したい場合には任意波形機能が必須となることもあります。
■周波数範囲と分解能
ファンクションジェネレータの周波数性能は非常に重要です。数Hz〜数MHz程度で十分な用途もあれば、通信やRF関連の用途では数百MHzの出力が必要になる場合もあります。
また、周波数設定の分解能が高ければ高いほど、細かい制御が可能です。たとえば、0.1Hz単位で設定できる機種であれば、低周波回路のチューニングなどに適しています。
■出力電圧とインピーダンス
出力可能な電圧の範囲も確認が必要です。一般的には最大10Vp-p程度の機種が多く、直流オフセットの設定範囲と組み合わせて利用します。使用する回路やデバイスの定格電圧に合った範囲を持つモデルを選びましょう。
出力インピーダンスは通常50Ωに設定されており、接続先が高インピーダンスの場合には電圧が想定と異なる場合もあります。切替可能なインピーダンス設定や、実負荷での電圧表示機能があると便利です。
■分解能と精度
出力波形の正確さを左右するのが分解能と精度です。デジタル制御式のファンクションジェネレータでは、DAC(デジタル・アナログ変換)のビット数が高いほど波形が滑らかになります。一般的には14ビットまたは16ビットの分解能があれば、高精度な波形生成が可能です。
また、周波数や振幅の出力精度が明記されている機種であれば、信号の再現性を重視する用途にも適しています。
■出力チャンネル数
1台で複数の信号を出したい場合には、出力チャンネル数も重要です。1CHモデルは最も一般的ですが、2CH以上あれば、位相差のある信号や複合波形を生成したり、マルチポイントの駆動が可能です。
位相調整ができる2CHモデルでは、90度位相シフトしたサイン波を出力して直交信号のテストなども行えます。
■同期・変調・スイープ機能
基本波形の出力だけでなく、応用機能も選定時のポイントです。
■同期機能(Sync Out)
他の測定器とタイミングを合わせたいときに便利です。
■AM/FM変調機能
通信関連の回路評価で使用されます。
■スイープ機能
周波数を一定範囲で自動変化させ、フィルタやアンプの周波数応答を確認するのに便利です。
■バーストモード
一定の回数だけ波形を出力する機能で、過渡応答の観測に適しています。
■インターフェースと外部接続
教育用途や開発現場では、PCと接続して制御したりデータ記録を行うことがあります。USBやLAN、RS-232Cなどのインターフェースが搭載されているかを確認しましょう。
また、専用ソフトウェアが提供されている機種なら、波形の作成や制御が直感的に行えるため利便性が高まります。
■サイズと操作性
ベンチトップ型と呼ばれる据え置き型の他、教育現場やフィールド作業に適したコンパクトなポータブルモデルも存在します。設置スペースや携帯性を考慮し、用途に合ったサイズを選びましょう。
フロントパネルの操作系がわかりやすく、タッチパネルやロータリーノブによる直感的な操作が可能な機種は初心者にも扱いやすいです。
■コストパフォーマンス
用途に対して必要十分な性能を持つ機種を選ぶことが、最も重要なポイントです。たとえば、学校の実習や基礎研究ではエントリーモデルで十分な場合が多く、コストを抑えた導入が可能です。一方、開発や製品検証では、高精度・高機能モデルが求められる場合もあります。
あらかじめ利用目的と求める仕様を明確にし、将来的な拡張性や保守性も加味した上で、最適なモデルを選定するのが理想です。
■まとめ
ファンクションジェネレータを選ぶ際には、出力波形、周波数範囲、振幅、機能、操作性など、多くの要素を比較検討する必要があります。とくに初めて購入する場合は、どの機能が必要でどこまでの性能が必要かを明確にすることが、後悔しない選定の第一歩です。
多くのモデルがさまざまなニーズに対応できるように設計されていますので、まずは自分の用途をしっかり整理し、それに合った機種を選ぶようにしましょう。
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