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ファンクションジェネレータの使い方
- 2025/7/3 -

ファンクションジェネレータの使い方

ファンクションジェネレータは、電子回路に対して任意の信号波形を供給するための計測器です。さまざまな波形、周波数、振幅の信号を生成できることから、製品開発、評価試験、教育現場など多くの用途で使用されています。ここでは基本的な使い方について、ステップごとに紹介します。

■準備:接続と電源投入

使用前の準備として、まず本体を安定した場所に設置し、電源ケーブルを接続して電源をオンにします。多くのモデルは、正面の電源ボタンを数秒間押すことで起動します。出力端子にはBNCコネクタが用いられていることが多いため、出力信号を利用する装置(オシロスコープなど)とBNCケーブルで接続します。

使用時は、必ず出力先の負荷インピーダンスを確認し、設定と一致するように調整しましょう。たとえば、オシロスコープの入力が高インピーダンス(1MΩ)である場合、出力設定もそれに合わせます。

■波形の選択

ファンクションジェネレータは、複数の波形を出力できます。代表的なものとして、サイン波、方形波、三角波、ランプ波、パルス波、ノイズ波などがあります。機種によっては、任意波形(Arbitrary Waveform)も使用可能です。

波形の選択は、フロントパネルの専用ボタンやタッチパネル操作で行います。必要な波形を選択すると、ディスプレイに選択された波形とともに基本パラメータが表示されます。

■周波数の設定

波形を選択したら、次に周波数を設定します。周波数はHz、kHz、MHz単位で入力でき、機種によっては10回転ノブや数値入力キーを使って設定することができます。必要に応じてスイープやバーストモードなど、時間的に変化する周波数制御も設定可能です。

たとえば、10kHzのサイン波を出力したい場合は、周波数設定メニューに入り、「10000」と入力すれば設定完了です。

■振幅とオフセットの設定

次に、出力電圧の振幅(Amplitude)とオフセット(Offset)を設定します。振幅は「ピークtoピーク値(Vpp)」または「実効値(Vrms)」で表示されることが多く、必要な出力レベルに応じて数値を調整します。

オフセットは、出力波形全体を上下にシフトさせる直流成分のことです。たとえば、全体を正側に2Vシフトさせたい場合は、オフセットに「+2V」と設定します。特にバイアス付きの信号が必要なアナログ回路では重要な調整項目です。

■出力のON/OFF

各パラメータの設定が完了したら、出力ボタン(通常は「Output」)を押すことで、信号出力が開始されます。オシロスコープなどの外部機器を接続している場合は、波形が表示されていることを確認しましょう。出力を停止したい場合は、同じボタンをもう一度押します。

一部の機種では、複数の出力チャンネルを搭載しており、個別にON/OFFが可能です。それぞれのチャンネルを独立して制御することで、複雑な信号環境を再現できます。

■オシロスコープとの組み合わせ

ファンクションジェネレータの波形は、オシロスコープと組み合わせることで視覚的に確認しやすくなります。BNCケーブルで出力端子とオシロスコープのCH1などを接続し、適切なスケールとトリガ設定を行えば、設定した信号が画面に表示されます。

また、外部トリガ出力があるモデルでは、オシロスコープのトリガ入力に接続することで、安定した波形表示が可能になります。

■便利な応用機能

機種によっては、次のような便利な機能が備わっています。

スイープ機能
周波数を連続的に変化させることで、フィルタやアンプの周波数特性を可視化できます。

バーストモード
一定回数の波形だけを出力し、パルス応答や過渡特性を調べるのに便利です。

AM/FM変調
アナログ変調信号を出力し、通信回路や受信機の動作確認に使用します。

外部同期入力
他の機器との連携動作を取る際に、外部クロックや信号で制御できます。

■安全に使用するための注意点

ファンクションジェネレータは比較的安全な計測器ですが、以下の点には注意しましょう。

・出力電圧が高すぎると、接続機器にダメージを与える可能性があります。接続前に出力電圧設定を確認しましょう。
・負荷インピーダンスが設定と合っていない場合、波形が歪んだり、出力電圧が想定と異なったりすることがあります。
・出力端子は必ずBNCケーブルや専用プローブで接続し、無理な引き抜きや変形は避けてください。

■まとめ

ファンクションジェネレータは、電子計測において非常に基本的かつ重要な役割を果たします。サイン波や方形波などの標準波形だけでなく、任意波形や変調波などの特殊な信号も出力可能であり、用途に応じた設定を行うことで、より正確な評価や実験が可能になります。

初めて使う場合は、まず基本的な波形出力とオシロスコープでの確認からスタートし、徐々に応用機能や複雑な信号パターンに挑戦していくことをおすすめします。

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