ファンクションジェネレータとは何か
ファンクションジェネレータ(任意波形発生器)は、正弦波・方形波・三角波・パルス波などのさまざまな波形を生成するための信号源です。回路の入力に特定の波形を加えて応答を観測したり、周波数特性を確認したり、センサーや増幅器の評価に使われます。
ファンクションジェネレータ単体では出力波形を「見て確認」することはできません。そこで必要になるのが、波形を観測するためのオシロスコープです。
■オシロスコープの役割
オシロスコープは、電気信号を時間軸に沿って表示する装置で、波形の電圧や周波数、歪み、ノイズなどを視覚的に確認できます。ファンクションジェネレータから出力された信号が、実際にどのような形で回路に届いているか、あるいは回路を通じてどのように変化しているかを測定するための必須ツールです。
■基本的な接続構成
ファンクションジェネレータとオシロスコープの接続は、非常にシンプルです。以下が一般的な構成です。
1)ファンクションジェネレータの出力端子
ファンクションジェネレータのフロントパネルには「OUTPUT」と書かれたBNCコネクタがあり、ここから信号が出力されます。
2)接続ケーブル
BNC同軸ケーブルを使って、ファンクションジェネレータの「OUTPUT」端子とオシロスコープのCH1入力端子を直接接続します。
信号の品質を保つために、50ΩインピーダンスのBNCケーブルを使用するのが理想的です。
3)負荷接続の有無
測定対象が単なる信号確認であればこのままでOKですが、回路に信号を加えてその応答を見たい場合は、ファンクションジェネレータの出力を「回路(DUT)」に接続し、さらに回路の出力をオシロスコープで観測する構成にします。
■GND(グラウンド)に注意する
ファンクションジェネレータとオシロスコープの両方は、筐体グランド(シャーシGND)がACラインと共通の場合があります。
そのため、GNDループが発生しないように注意する必要があります。
オシロスコープのプローブを使う場合、プローブのGNDクリップをファンクションジェネレータのGNDに接続しないほうがよいケースもあります。誤った接続でショートや誤動作を招く恐れがあるため、グラウンドの取り回しには十分に注意しましょう。
■インピーダンス設定に注意
ファンクションジェネレータとオシロスコープの入力インピーダンスは通常、「50Ω」と「高インピーダンス(1MΩ)」から選択できます。
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ジェネレータ側が50Ω設定で出力
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オシロスコープ側も50Ω終端に設定するか、1MΩで信号振幅を補正
この設定が合っていないと、波形の振幅が2倍になったり、歪んだりします。正確な測定を行うためには、インピーダンスの整合が非常に重要です。
■出力レベルとオフセットの設定
ファンクションジェネレータで波形を出す際は、出力電圧(Vp-p)とDCオフセットを適切に設定しておく必要があります。
たとえば、5Vp-pの正弦波を出したい場合、GND基準で±2.5Vの範囲で出力されるように設定します。
オフセットを+2.5Vに設定すれば、0V~5Vの範囲で信号が出ることになります。
この設定次第で、測定回路に与える影響が変わるため、実験目的に応じて設定を調整しましょう。
■オシロスコープ側の操作ポイント
接続後は、オシロスコープ側で以下の点を確認・設定しましょう。
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チャンネル選択(CH1など)
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時間軸(Time/div)と電圧軸(Volt/div)
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トリガ設定(Auto、Normal、Single、エッジ)
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プローブ設定(1X、10X、電圧係数)
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波形が安定して表示されるようにトリガを調整
オシロスコープの「自動測定機能」を使えば、周期・周波数・振幅・立ち上がり時間などをすばやく確認できます。
■接続例:パルス応答を観測する
たとえば、マイコン回路のクロック入力端子に方形波を与えて、出力が正しく反応するか確認する場面では、以下のように接続します。
1.ファンクションジェネレータのOUTPUT → マイコンのクロックIN
2.マイコンの出力端子 → オシロスコープのCH1
3.トリガはCH1(立ち上がりエッジ)で設定
4.Time/divを調整して、応答のタイミングを見る
このように、ファンクションジェネレータは入力信号を作るツール、オシロスコープはその応答を見るツールとして連携します。
■まとめ
-
ファンクションジェネレータとオシロスコープは、信号の「発生」と「観測」を担う基本ツールです。
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接続にはBNCケーブルを使用し、GNDやインピーダンス設定に注意を払う必要があります。
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使用目的に応じて、波形の出力レベルやオフセットを適切に調整し、オシロスコープ側でトリガ設定やスケーリングを行いましょう。
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