12ビットADCとは?
12ビットADC(Analog to Digital Converter)とは、アナログ信号をデジタル信号に変換する際の分解能が12ビットであることを示します。ADCは、オシロスコープやデータロガーなどの電子測定機器に不可欠な要素で、アナログ入力信号をビット単位のデジタル値に変換して波形表示やデータ処理を可能にします。
「12ビット」というのは、1つのアナログ信号が2¹²=4096段階に分割されてデジタル化されることを意味します。たとえば、0〜1Vの範囲を測定する場合、約0.24mV刻みでの変化を捉えることができ、これは8ビットADC(256段階、約3.9mV刻み)よりも16倍の精度を持ちます。
このため、12ビットADCを搭載したオシロスコープは、微細な電圧変化の検出や低ノイズ観測が可能であり、医療・センサ信号・アナログ回路などの高精度な測定に非常に有効です。
OWON製のオシロスコープにも12ビットADCを採用したモデルが複数存在します。たとえば、OWON ADS800AシリーズやXDSシリーズはすべて12ビットADCを搭載しており、高精細な波形表示とより忠実な信号再現を実現しています。一般的な8ビットオシロスコープでは再現しきれない微小なリップル成分や歪み信号の検出にも対応可能です。
また、12ビットADCは信号のダイナミックレンジ(最小と最大の差)にも優れており、ノイズに強く、ノイズの中から有効信号を正確に抽出する能力も高くなります。
ただし、12ビットADCは、処理速度やデータ量の増加という技術的課題も伴うため、機器全体の設計バランスが重要です。OWONでは、ハードウェア設計とメモリ容量、波形更新率などを適切に調整することで、12ビットADCの性能を最大限に活かしています。
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