メモリ長(メモリデプス)とは?
メモリ長(Memory Depth)とは、オシロスコープなどの測定機器において、取得した波形データを一時的に保存しておける容量のことを指します。「メモリデプス」とも呼ばれ、一般的にポイント数(pts)やサンプル数(ptsまたはポイント)で表されます。たとえば「40Mpts」の場合、1チャネルあたり最大4,000万ポイントの波形データを記録できることを意味します。
このメモリ長が長ければ長いほど、高いサンプリングレートを維持したまま長時間の信号を記録することが可能になります。逆に、メモリが短いと、サンプリングレートを下げなければ長時間の波形が記録できず、波形の詳細な変化を見逃す可能性があります。
たとえば、1GSa/sで波形を取得する場合、1Mptsのメモリでは1ミリ秒(ms)しか記録できませんが、10Mptsなら10ミリ秒、100Mptsなら100ミリ秒分の詳細な波形を保持できます。過渡現象やノイズ、異常信号を捉えるには、十分なメモリ長が不可欠です。
OWON製のデジタルオシロスコープでは、用途に応じてさまざまなメモリ長のモデルが用意されています:
-
OWON HDS200シリーズ:携帯型ながら10kpts以上の基本メモリを搭載
-
OWON XDSシリーズ:最大40Mptsの大容量メモリモデルもあり、長時間記録に対応
-
OWON ADS800Aシリーズ:12ビット高分解能+大容量メモリで、ノイズ解析や高精度測定に最適
特にノイズの中からわずかな異常信号を検出するには、高いサンプリングレート+十分なメモリ長の組み合わせが必要です。また、メモリ長が大きいほど、ズーム解析や波形ナビゲーション機能も活用しやすくなり、詳細な波形解析やトラブルシューティングの効率が向上します。
ただし、メモリ長が大きいと、取得データの処理や画面描画に時間がかかる場合もあるため、必要に応じてメモリ長を手動で調整できる機能があると便利です。
Previous: 波形更新レートとは?
もっと用語集
- 無線通信の開発におけるスペクトラムアナライザの活用法とは?
- OWON TAO3000シリーズ タブレット・オシロスコープの機能と活用ガイド
- OWON SPEシリーズ シングルチャンネル直流電源の使い方と機能解説
- OWON VDS6000シリーズ PCベース・オシロスコープ FAQ
- OWON VDS6000シリーズ PCベース・オシロスコープの特長と使い方
- OWON XDS3000シリーズ オシロスコープ FAQ
- OWON XDS3000シリーズ 4チャンネル デジタル・オシロスコープの特長と活用法
- OWON XSA800シリーズ スペクトラムアナライザ FAQ
- OWON XSA800シリーズ スペクトラムアナライザの機能と活用法
- スペクトラムアナライザとは?仕組み・使い方・活用例をわかりやすく解説
- ファンレス静音!実験室向けDC電源SPSシリーズ活用術
- EMI対策に必須!スペクトラムアナライザによるノイズ測定入門
- スペクトラムアナライザの選び方:帯域・RBW・DANLの意味と基準
- FFT vs スペクトラムアナライザ:どちらで周波数解析するべき?
- スペクトラムアナライザの測定例で学ぶ:チャネルパワー・ACP・OBWとは
- 測定現場で役立つスペアナの便利機能10選【マーカ・トレース・トリガ】
- 初心者向け!スペクトラムアナライザの使い方ステップガイド
- スペクトラムアナライザ導入事例:教育機関・開発・品質保証の現場から
- ハンドヘルド型 vs 据え置き型:スペクトラムアナライザの形状別メリット比較
- 1台2役!OWON SPMシリーズで電源と測定を同時に
- 300Wクラスで選ぶ直流電源ベスト3:SPE・SPM・SPS比較
- スペクトラムアナライザの基礎知識:オシロスコープとの違いとは?