周波数分解能(Frequency Resolution)とは?
周波数分解能(Frequency Resolution)とは、FFT(高速フーリエ変換)やスペクトラム解析において、隣接する2つの周波数成分を区別できる最小間隔を指します。単位はHz(ヘルツ)で、より小さい値であるほど、細かい周波数成分の違いを見分ける能力が高いことを意味します。
周波数分解能は主に以下の式で求められます:
周波数分解能 = サンプリングレート ÷ FFTポイント数
例えば、1GSa/sのサンプリングレートで1024ポイントのFFTを行った場合、周波数分解能は約976.6kHzとなります。FFTポイント数を増やす、またはサンプリングレートを下げることで、より高い(=細かい)周波数分解能が得られます。
高い周波数分解能が求められる場面としては:
■信号中の微小な周波数差を検出したい場合
■近接するノイズ源の特定
■高調波やスプリアスの詳細解析
■フィルタの通過帯域/遮断帯域の特性評価
などが挙げられます。
OWON製のデジタルオシロスコープでは、多くのモデルがFFT解析機能を搭載しており、周波数分解能の調整が可能です:
■OWON XDSシリーズ:40Mptsの大容量メモリを活かして長時間信号を記録できるため、高分解能FFT解析に適しています。
■OWON ADS800Aシリーズ:12ビットADCと1GSa/sの高速サンプリングにより、広帯域かつ高精細な周波数解析を実現します。
■OWON HDS200シリーズ:現場用のハンディ型モデルでも、FFTポイント数を調整することで簡易的な周波数分解能の切り替えが可能です。
ただし、高い周波数分解能を得るには、FFTポイント数の増加=演算負荷の増加を意味するため、処理速度の低下や画面反映の遅延につながることもあります。そのため、必要な解析精度とレスポンスのバランスを考慮した設定が求められます。
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