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上昇時間(Rise Time)とは?
- 2025/6/9 -

上昇時間(Rise Time)とは?

上昇時間(Rise Time)とは、パルス波形やステップ状の信号において、信号が低いレベル(通常10%)から高いレベル(通常90%)へ到達するのにかかる時間を指します。単位は秒(s)やナノ秒(ns)で表され、信号の立ち上がりの速さを示す重要なパラメータです。

たとえば、デジタル回路においては、クロック信号やデータ信号の立ち上がり速度が遅いと、誤動作やタイミングずれの原因になる可能性があります。そのため、上昇時間は高速デジタル信号の設計・評価において非常に重要です。

オシロスコープでは、波形を測定して自動的に上昇時間を算出する機能が備わっていることが一般的です。これにより、回路や信号源の特性確認、信号品質の評価、不具合原因の特定などが効率よく行えます。

なお、オシロスコープ自身にも「上昇時間の限界」が存在します。これはオシロスコープの帯域幅(BW)に依存し、次の近似式で計算されます:

オシロスコープの理論的上昇時間 ≒ 0.35 ÷ 帯域幅(Hz)

たとえば、帯域幅が100MHzのオシロスコープで測定可能な最短の上昇時間は、おおよそ3.5nsとなります。このため、観測対象の信号の上昇時間が非常に短い場合には、それを正確に測定できるだけの帯域幅を持つオシロスコープが必要です。

OWON製のオシロスコープでは、モデルに応じてさまざまな帯域幅が用意されており、上昇時間の測定用途にも対応可能です:

■OWON ADS800Aシリーズ:帯域幅200MHz・1GSa/sの高性能で、数ナノ秒レベルの高速信号の上昇時間を測定可能。

■OWON XDSシリーズ:帯域幅100MHz~300MHzのモデルがあり、上昇時間やパルス応答の測定に適しています。

■OWON HDS200シリーズ:簡易測定に適した携帯型モデルながら、信号の立ち上がりの視覚的確認が可能です。


上昇時間の測定は、単に信号の速度を知るだけでなく、回路設計の品質管理やノイズ対策の評価にも役立ちます。信号の遅延・反射・リンギングといった現象とあわせて観察することで、より高度な波形解析が可能になります。

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