プローブの校正方法(プローブ補正)|正確な測定のために
オシロスコープでの測定精度を保つために欠かせない作業の一つが「プローブの校正(補正)」です。特にパッシブプローブを使用する際には、測定前に必ずプローブ補正を行うことで、波形の歪みや測定誤差を防ぐことができます。
OWONのオシロスコープでは、すべてのモデルに**プローブ補正出力端子(通常は1kHz / 2Vの方形波)**が搭載されており、簡単な操作で補正作業を行うことが可能です。ここでは、一般的な補正手順をOWON製品を例に紹介します。
なぜプローブ補正が必要か?
プローブは内部に抵抗とコンデンサを含んでおり、オシロスコープ本体との間に生じる「周波数特性の違い」により、波形が歪んで表示されることがあります。たとえば、方形波の立ち上がり部分が丸くなったり、オーバーシュートが発生したりします。
この補正は「プローブとオシロスコープの入力回路を整合させる」ことで、波形表示の正確性を確保する作業です。特に10:1のパッシブプローブを使用する場合には、補正が重要となります。
プローブ補正の手順(OWONの場合)
■プローブをCH1などの入力チャンネルに接続
→ プローブの先端(フック部)をオシロスコープ前面にある「プローブ補正出力(CAL端子)」に接続します。
■オシロスコープの電源を入れ、表示範囲を調整
→ 垂直軸・水平軸・トリガーを調整し、補正信号(通常は方形波)が画面中央に安定して表示されるようにします。
■波形の立ち上がりを確認する
→ 方形波が「平らな天井と底」を持ち、立ち上がり・立ち下がりが垂直に近い状態であることが理想です。
■プローブの補正ネジ(トリマー)を調整する
→ プローブのコネクタ部分にある小さなネジを、付属のドライバーで調整します。
-波形が丸まっている場合 → 時計回りに少し回す
-波形が尖っている場合 → 反時計回りに少し回す
■理想的な方形波になるよう微調整
→ 完全にフラットな方形波が表示されたら補正完了です。
校正のポイント
-使用するプローブを各チャンネルごとに補正してください。
-一度補正しても、プローブを別のオシロスコープに接続するたびに補正するのが理想です。
-補正に使う信号(CAL端子)はオシロスコープによって出力値が異なる場合があります。マニュアルで確認しましょう。
-無理にネジを回しすぎないよう、慎重に操作してください。
OWON製品の補正サポート
OWONのオシロスコープには、ユーザーフレンドリーなインターフェースと補正端子が標準装備されており、初心者でも簡単にプローブ補正を実施できます。また、付属プローブには調整用ドライバーが同梱されているため、すぐに補正作業を始めることができます。
プローブ補正は「測定の精度」を守るための基本操作です。面倒に思わず、測定前のルーティンとして取り入れることをおすすめします。OWONのオシロスコープとともに、常に正確な波形観測を実現しましょう。
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