オシロスコープ 校正機能とは
オシロスコープの校正機能とは、測定器としての精度を維持し、正確な電気信号の観測を行うために内部回路やプローブの特性を補正・調整する機能のことです。校正は英語で「calibration」とも呼ばれ、信頼性のある測定結果を得るために欠かせない操作です。一般的に、オシロスコープ本体の自己校正と、プローブの補正の2つの観点で行われます。
本体の校正機能について
デジタルオシロスコープには、内部の基準信号源を使って回路全体を自動的に補正する「自己校正(self calibration)」機能が搭載されていることが多く、温度変化や経年変化による誤差を最小限に抑えるために用いられます。自己校正はメニュー画面から実行でき、数分で完了します。測定精度が求められる場面では、長時間使用前や環境が変わった際に定期的に実行することが推奨されます。
プローブの補正(プローブ校正)について
パッシブプローブやアクティブプローブなどを使用する場合、オシロスコープとの間で信号の整合を取るための調整が必要です。多くのオシロスコープは、1kHz程度の方形波を出力する補正信号端子を備えており、プローブをこの信号に接続して補正ネジを調整します。これにより波形の歪みやオーバーシュートを防ぎ、正しい波形観測が可能になります。
校正機能のメリット
■ 正確な電圧・時間測定を維持できます
■ 温度や環境変化に伴う内部誤差を自動的に補正できます
■ プローブの誤差を補正し、信号波形の再現性が向上します
■ 長期的な運用においても信頼性の高い測定が可能になります
注意点
校正機能は日常的な調整のためのものであり、JISやISOに準拠したトレーサブルな校正とは異なります。証明書付きの正式な校正が必要な場合は、メーカーや専門機関による定期校正サービスの利用が必要です。また、自己校正を行う際は、機器が安定した温度環境にあることが望ましく、電源投入後に一定時間経過してから実施するのが一般的です。
まとめ
オシロスコープの校正機能は、測定の精度と信頼性を保つための基本機能です。本体の自己校正とプローブの補正の両方を適切に行うことで、より高品質な測定結果が得られます。測定精度が求められる現場では、日常的な校正機能の活用と、定期的な外部校正の併用が理想的です。
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