波形ファイル形式(.csv, .bmpなど)とは
波形ファイル形式とは、オシロスコープやデータロガーなどの測定機器で取得した波形データを保存・記録する際に使用されるファイルの形式のことです。記録した波形は、画像として保存したり、数値データとして再解析したりする目的で用途に応じたファイル形式で出力されます。測定結果の共有、報告書作成、二次解析などにおいて重要な役割を果たします。
主なファイル形式
■ .csv(Comma-Separated Values)
数値データをカンマ区切りで保存する汎用形式で、波形の電圧値や時間軸の情報をテキストデータとして出力できます。Excelや解析ソフトでの再利用に適しており、測定結果のグラフ化や数値比較が容易です。
■ .bmp(Bitmap Image)
オシロスコープの画面をそのまま画像として保存する形式です。測定波形の視覚的な記録や報告資料への貼り付けに適しています。画像の解像度や色数は機器により異なります。
■ .png(Portable Network Graphics)
.bmpよりもファイルサイズが小さく、劣化のない可逆圧縮を特徴とする画像形式です。Web用途や資料作成に広く使われます。
■ .jpg(JPEG Image)
写真向けに最適化された圧縮形式で、画質よりもファイルサイズの小ささを重視する場合に適しています。オシロスコープではオプションとして対応している機種があります。
■ .bin(Binary)
機器独自の内部形式で記録されたバイナリデータです。再度オシロスコープに読み込むことで波形を再表示できる形式で、再現性が高く、設定情報なども含まれている場合があります。
波形ファイル形式の選び方
■ 数値解析やデータ比較を行いたい場合は.csv形式が最適です
■ 測定結果を報告書に添付する場合は.bmpや.png形式が便利です
■ データの保存容量を抑えたい場合は.pngや.jpgが適しています
■ 元の波形状態を完全に保存・再現したい場合は.bin形式を活用します
注意点
ファイル形式によっては専用ソフトでのみ開けるものや、再解析が困難なものもあるため、用途に応じて形式を選ぶことが重要です。また、オシロスコープ本体のファームウェアやモデルによって対応可能な保存形式が異なるため、取扱説明書の確認が推奨されます。
まとめ
波形ファイル形式は、測定結果の利活用を大きく左右する重要な要素です。目的に応じた形式を選択することで、記録性・再現性・共有性を高めることができ、業務の効率化や解析精度の向上につながります。用途と保存先に合わせて、適切なファイル形式を活用しましょう。
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