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オシロスコープで信号の周波数を測定する方法
- 2025/7/1 -

オシロスコープで信号の周波数を測定する方法

周波数とは何か

周波数とは、ある波形が1秒間に何回繰り返されるかを示す物理量であり、単位はヘルツで表される。たとえば、1000Hzの信号は1秒間に1000回同じパターンが繰り返されることを意味する。電子回路では、クロック信号や通信波形、音声信号など、さまざまな信号が固有の周波数を持っている。これらを正確に測定することは、回路の正常動作確認やトラブルシューティングに不可欠である。

オシロスコープの役割と利点

オシロスコープは、電圧の時間変化を可視化する測定器であり、周波数を間接的に読み取るために利用される。特にアナログ波形や変化のある信号に対しては、単純な周波数カウンターよりも有利である。画面上で波形の周期を視認できるため、目視による確認や異常検知も容易になる。

基本的な読み取り方法

オシロスコープで周波数を測定する最も基本的な方法は、画面上の1周期の長さを読み取り、その逆数をとることである。たとえば、1周期が2ミリ秒なら、周波数は500Hzとなる。画面には時間軸のスケール(タイム/ディビジョン)が表示されているため、1周期が何ディビジョン分に相当するかを確認すれば周期が求まる。

カーソルを用いた測定方法

多くのデジタルオシロスコープでは、カーソル機能を使って2点間の時間差を正確に測定できる。波形の立ち上がり位置を2回分選択し、時間差が求まれば、それが周期である。そこから逆数を計算することで、より正確な周波数が得られる。カーソルを用いると、目視の誤差を減らすことができ、特に低周波信号では有効である。

自動測定機能を活用する

最近のオシロスコープでは、自動測定機能により波形の周波数を自動的に計算して表示できる。代表的な測定項目として、周波数、周期、デューティ比、最大値、最小値などがあり、画面の下部や右側に一覧表示されることが多い。複数チャネルで同時測定できるモデルもあり、複数の信号の比較にも便利である。自動測定は非常に高速かつ精度が高いため、プロの現場でも広く使われている。

安定したトリガが重要

周波数を正確に測定するには、波形が画面上で安定して表示されることが前提となる。そのためには適切なトリガ設定が不可欠である。トリガ条件がずれていると、波形が流れるように表示され、周期や周波数の読み取りが困難になる。基本的には立ち上がりエッジ、または特定の電圧レベルをトリガに設定することで、波形の一周期を安定的に表示させることができる。

高周波信号の測定の注意点

数MHzを超える高周波信号では、波形が小さく表示されたり、波形のエッジがなまって見えることがある。これはサンプリングレートやプローブ帯域の制限によるものである。そのため、高周波信号の周波数測定には、十分な帯域とサンプリング速度を持つオシロスコープ、および対応するプローブが必要となる。12ビットや高分解能モードにより、波形の再現性を向上させることも可能である。

複数信号の比較測定

オシロスコープは複数チャネルを備えており、異なる信号の周波数を同時に観測することができる。たとえばクロック信号と応答信号を並べて表示し、それぞれの周期やタイミングの差を測ることで、動作の同期状況や遅延時間を評価できる。同期信号の観測や周波数の一致確認などに有効である。

FFT機能による周波数スペクトルの確認

さらに多くのデジタルオシロスコープではFFT機能が備わっており、時間波形から周波数成分を解析することも可能である。これにより、主成分周波数がどのあたりにあるかをスペクトルとして表示でき、特に混合信号やノイズの周波数特性を見る場合に有効である。ただし、FFT表示は分解能や表示範囲に制限があるため、あくまで補助的な手法といえる。

まとめ

オシロスコープによる周波数測定は、基本操作とツールの使い方を理解することで精度よく行うことができる。画面上の読み取りだけでなく、カーソル機能や自動測定、FFT解析などを組み合わせて活用することで、さまざまな状況に対応可能となる。トリガの安定性や帯域設定、プローブの選定も含めて、正確な周波数測定を実現するための総合的な知識が求められる。

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