サンプリングレート(Sampling Rate)とは?
サンプリングレートとは、アナログ信号をデジタル信号に変換する際に、1秒間に何回サンプル(標本化)を取るかを示す指標です。単位はサンプル/秒(S/s:Samples per second)で表され、オシロスコープなどの電子測定器において波形の再現精度を大きく左右する重要な性能項目です。
たとえば、サンプリングレートが「1GSa/s(1ギガサンプル毎秒)」の場合、1秒間に10億回のサンプルを取ることができることを意味します。この値が高いほど、波形の細かい変化をより正確に再現できます。
サンプリングレートの基本的な目安として、**観測したい信号の最高周波数の少なくとも2倍以上(ナイキスト定理)**が必要とされます。たとえば、50MHzの信号を正確に再現するには、理論上は100MSa/s以上のサンプリングレートが必要です。ただし、実際には5〜10倍の余裕を持った設定が推奨されます。
たとえば、OWON製のデジタルオシロスコープでは、以下のようなサンプリング性能を持つモデルが展開されています:
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OWON HDS200シリーズ:最大250MSa/s(2チャンネル時は125MSa/s)
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OWON XDSシリーズ:最大1GSa/s以上の高性能モデルあり
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OWON ADS800Aシリーズ:12ビット高分解能+最大1GSa/sの高速サンプリングを両立
これらのモデルでは、高帯域・高分解能の波形再現が可能で、ノイズ成分や短時間の過渡現象なども見逃さずに観測することができます。
なお、サンプリングレートはメモリ長(波形記録可能なデータ数)とも密接に関係しています。長時間の波形を詳細に記録するには、高サンプリング+大容量メモリの組み合わせが望まれます。
また、サンプリングレートは製品スペックに「リアルタイムサンプリング」として表記されることが多く、「等価時間サンプリング(ETS)」とは区別されます。ETSは繰り返し波形にのみ適用可能で、ランダム波形の正確な観測にはリアルタイムサンプリングが不可欠です。
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