プローブ補正(Probe Compensation)とは?
プローブ補正(Probe Compensation)とは、オシロスコープに接続するパッシブプローブ(主に10:1の減衰プローブ)に対して、周波数特性を正しく調整するための作業です。これにより、測定信号の波形を正確に表示できるようにするため、オシロスコープ使用前の基本的かつ重要なステップとされています。
なぜ補正が必要なのか?
パッシブプローブは、プローブ内部の抵抗とコンデンサ(RC回路)によって構成されており、これがオシロスコープ本体の入力回路と組み合わさることで全体の周波数特性が決定されます。もし補正が合っていないと、次のような問題が発生します:
■未補正状態の波形の例
補正不足(アンダーコンペンセート):波形が丸くなり、立ち上がりが遅く見える
補正過剰(オーバーコンペンセート):波形が尖りすぎ、オーバーシュートが出る
⇒ どちらの場合も正確な波形測定ができず、解析や判断を誤る可能性があります
補正方法(一般的な手順)
↓オシロスコープ本体の「プローブ補正信号端子(1kHz、3Vppなど)」にプローブを接続
↓オシロスコープを10:1設定にして、プローブも対応設定にする
↓波形を観察しながら、プローブの補正ネジ(小さな調整スクリュー)を回して矩形波の立ち上がりを調整
↓波形が正しい矩形波になれば補正完了
OWON製品におけるプローブ補正
OWON製のオシロスコープ(XDSシリーズ、ADS800Aシリーズ、HDS200シリーズなど)には、標準でプローブ補正用出力端子(通常1kHz、3Vp-pの矩形波)が搭載されています。また、付属の10:1パッシブプローブにも補正用の小型ドライバーが同梱されているため、購入直後すぐに補正作業が行える構成となっています。
特に、12ビットの高分解能モデル(例:ADS800A)では、補正状態が波形の品質に大きく影響するため、測定開始前に毎回補正チェックを行うことが推奨されます。
まとめ:
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プローブ補正は、正確な波形表示に不可欠な作業
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測定前に一度は補正チェックを行うのが基本
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OWON製オシロスコープでは補正信号端子と専用プローブが標準装備
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補正された波形=フラットな矩形波(過不足なし)
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