インバータ測定とは
インバータ測定とは、直流(DC)を交流(AC)に変換する装置であるインバータの出力波形やスイッチング動作をオシロスコープなどの計測器で評価・解析することを指します。モータ駆動や電源変換装置に広く用いられており、電力電子機器の開発・品質評価において重要な測定項目です。
主な測定対象
■ 出力電圧波形(矩形波/疑似正弦波など)
■ 出力周波数とその安定性
■ スイッチング波形(MOSFETやIGBTの動作)
■ デッドタイム(スイッチング素子間の無通電時間)
■ スイッチング損失や過渡現象
■ モータ端子電圧、電流、回転数との関係性
■ ノイズ成分(EMI)や異常スパイクの観測
必要な機器・アクセサリ
■ 高帯域のオシロスコープ(MHz~数百MHzクラス)
■ 高耐圧差動プローブ:高電圧間の測定に使用
■ 電流プローブ(クランプ型やシャント抵抗型)
■ ロジックプローブ(ゲート信号の解析)
■ 絶縁型プローブ:安全性を確保しつつ波形取得可能
測定手順の例
■ インバータ出力端子やスイッチング素子付近にプローブを接続
■ 波形更新速度と帯域を調整し、高速過渡現象も捉える
■ トリガー条件をスイッチング信号や過電圧検出に設定
■ 必要に応じて波形演算(電力・位相・FFT)を活用
■ 結果をスクリーンショットやCSVで保存・分析・報告
使用シーン
■ モータ駆動用インバータの評価・開発
■ 太陽光パワーコンディショナやEV電源システムの波形検証
■ 家電・産業用制御装置の品質管理
■ スイッチング素子の熱設計・信頼性試験
メリット
■ 高速スイッチング波形や瞬時異常を高精度で可視化可能
■ モータや負荷との相互作用を確認しやすい
■ 故障解析・設計最適化に大きく貢献
注意点
■ 高電圧・高電流を扱うため、安全対策が必須(絶縁・接地)
■ 高速ノイズが混入しやすいため、プロービングと機器性能が重要
■ デッドタイムやサージ成分の解析には高分解能・広帯域が必要
まとめ
インバータ測定は、電力変換装置やモータ駆動回路の設計・評価・保守に不可欠な計測です。オシロスコープと高性能プローブを活用することで、高速スイッチング波形や過渡応答の正確な把握が可能となり、より安全で効率的な電力制御設計に貢献します。
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