オシロスコープ入門講座 第3回「基本構造と各部名称(ディスプレイ/つまみなど)」
オシロスコープは一見複雑そうに見えますが、各部の名称と役割を理解すれば操作はぐっと身近になります。今回は、画面表示と操作系の基本構成を中心に、初心者でも迷わず扱えるようになるための知識を整理します。
ディスプレイ部
■ 波形表示画面で、横軸は時間、縦軸は電圧を表す
■ グリッド(グラフ状の目盛り)は、測定スケールの目安として使用
■ 複数チャネルがある場合、異なる波形が色分け表示される
■ 測定値やメニュー、ステータス情報も画面内に表示される機種が多い
垂直(Vertical)セクション
■ チャネルごとに入力信号の電圧スケール(感度)を調整するつまみ
■ 通常「V/div」と表示され、1目盛りあたりの電圧値を変更できる
■ 入力カップリング(AC/DC/GND)を切り替えるボタンもここにある
■ プローブの設定(1:1, 10:1など)もこのセクションで行う
水平(Horizontal)セクション
■ 時間軸スケールを調整するつまみで、「Time/div」と表示される
■ 波形の横方向の拡大・縮小を調整し、信号周期の観察に使う
■ 時間軸のゼロ位置を移動する“Position”つまみがある機種も多い
トリガー(Trigger)セクション
■ 波形の安定表示を行うための“開始タイミング”を設定する機能
■ トリガーレベル(どの電圧値を基準にするか)を調整するつまみ
■ トリガーモード(Auto/Normal/Single)やトリガーソース(CH1, CH2など)を選ぶボタン
■ 外部信号やバスデコード用のトリガー設定もここから行う
操作ボタン/メニュー系
■ Autoボタン:すぐに見やすい設定に自動調整する便利機能
■ Measure:電圧・周期・周波数などを自動で数値化するメニュー
■ Cursors:カーソルを使って波形上の任意の位置を手動測定
■ Save/Recall:波形や設定の保存・呼び出し
■ Utility/Menu:システム設定やネットワーク設定などの各種オプション
入出力端子・接続部
■ 入力チャネル(CH1、CH2など)はBNCコネクタ形式が一般的
■ USBポートやLAN端子がある機種では、PCとの接続やファイル保存が可能
■ トリガー出力、校正信号出力なども背面または側面に配置される
まとめ
オシロスコープの構造は、大きく分けてディスプレイ・垂直・水平・トリガー・メニューの5つに分類できます。これらの役割を知ることで、波形の観察や調整がスムーズにできるようになります。次回は「プローブの基礎知識と使い方」について解説します。
【シリーズ】オシロスコープ入門講座(全10回)
対象読者:初めて使う方/学生/新入社員の研修用
■ 第1回:オシロスコープとは何か?基本概念と用途
■ 第2回:アナログ vs デジタルオシロスコープ
■ 第3回:基本構造と各部名称(ディスプレイ/つまみなど)
■ 第4回:プローブの基礎知識と使い方
■ 第5回:信号の入力方法とトリガーの考え方
■ 第6回:時間軸・電圧軸のスケール調整と見方
■ 第7回:波形の種類と読み取り方(矩形波/三角波など)
■ 第8回:基本的な測定項目(周期/周波数/振幅など)
■ 第9回:簡単なトラブルシューティング(波形が出ないとき等)
■ 第10回:よくある使い方の事例(電源・通信・オーディオ)
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