オシロスコープ入門講座 第7回「波形の種類と読み取り方(矩形波/三角波など)」
オシロスコープでは、さまざまな波形を観測することができます。代表的な波形には、正弦波、矩形波、三角波、鋸歯状波(のこぎり波)などがあります。それぞれに特有の特徴があり、正しく読み取ることで信号の性質や異常の有無を判断できます。今回は、波形の種類ごとの読み取り方と注目すべきポイントを解説します。
矩形波(方形波)
■ デジタル信号やクロック信号に多く見られる
■ 急峻な立ち上がりと立ち下がりが特徴で、0と1の状態を表す
■ デューティ比(High状態の比率)や立ち上がり時間、立ち下がり時間に注目
■ グリッチ(一瞬のノイズ)やジッター(時間のズレ)などの異常検出が重要
三角波
■ 線形な上昇・下降を繰り返す波形
■ 主にアナログ制御やテスト信号として使用される
■ 上昇と下降の傾きが対称であるかをチェック
■ ピーク値や周期が安定しているかを確認することで異常を発見しやすい
鋸歯状波(のこぎり波)
■ 一方向にゆっくり上昇(または下降)し、急激に戻る非対称波形
■ ディスプレイやモーター制御などで使われることが多い
■ 非対称性が崩れていないか、周期が一定かをチェック
■ 波形の崩れやノイズ混入がないかを観察する
正弦波
■ 最も基本的なアナログ信号。滑らかな山と谷の繰り返し
■ 周波数、振幅、位相が測定の主な対象
■ 歪み(ディストーション)やノイズの有無が重要な観察ポイント
■ オーディオや電源波形の評価において特に重要
ノイズや異常波形の読み取り方
■ 規則的な波形に突発的なスパイクや変調がないか確認
■ 波形の繰り返しが不規則な場合、トリガー設定を見直して詳細観察
■ オーバーシュート(信号が目標値を超えてしまう)やリンギング(振動)などにも注意
まとめ
波形の種類ごとの特徴を理解しておくことで、測定した信号の状態をより正確に把握できるようになります。特に異常波形の発見は、トラブルシューティングに欠かせません。次回は「自動測定機能の使い方と活用ポイント」について解説します。
【シリーズ】オシロスコープ入門講座(全10回)
対象読者:初めて使う方/学生/新入社員の研修用
■ 第1回:オシロスコープとは何か?基本概念と用途
■ 第2回:アナログ vs デジタルオシロスコープ
■ 第3回:基本構造と各部名称(ディスプレイ/つまみなど)
■ 第4回:プローブの基礎知識と使い方
■ 第5回:信号の入力方法とトリガーの考え方
■ 第6回:時間軸・電圧軸のスケール調整と見方
■ 第7回:波形の種類と読み取り方(矩形波/三角波など)
■ 第8回:基本的な測定項目(周期/周波数/振幅など)
■ 第9回:簡単なトラブルシューティング(波形が出ないとき等)
■ 第10回:よくある使い方の事例(電源・通信・オーディオ)
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