オシロスコープ入門講座 第2回「アナログ vs デジタルオシロスコープ」
現在、オシロスコープといえばほとんどがデジタル式ですが、かつてはアナログ式が主流でした。それぞれの仕組みや特徴には違いがあり、理解しておくことで、測定原理や波形表示の挙動をより深く把握できます。今回はアナログとデジタルの違いを整理し、現代の機種選定にも役立つ知識を解説します。
アナログオシロスコープとは
■ 受信した信号を直接ブラウン管(CRT)に表示する方式
■ 波形が連続的に描かれ、リアルタイム性が高い
■ 過渡現象やランダムなノイズを滑らかに捉えやすい
■ 記録や拡大などのデジタル機能は基本的に備えていない
■ 現在はほとんど生産されておらず、教育用途や中古市場での入手が主
デジタルオシロスコープ(DSO)とは
■ 入力信号をA/D変換し、デジタルデータとして処理・表示
■ 一度キャプチャした波形を停止・保存・拡大できる
■ 複数の測定値を同時に自動取得できる(周期、振幅、立ち上がり時間など)
■ USBやLANでデータ転送が可能、PC連携にも強い
■ ソフトウェアアップデートにより新機能を追加できる機種もある
アナログとデジタルの違い(特徴比較)
■ 表示方式:アナログ=連続波形、デジタル=離散波形(更新レートによる)
■ 波形の滑らかさ:アナログは自然、デジタルは補間処理で近似
■ 機能性:デジタルはトリガー・演算・FFT・保存・リモート制御に対応
■ 保守性と拡張性:アナログは部品入手や修理が困難、デジタルは将来的にも柔軟
現在の選択肢はデジタルが中心
■ 現代ではデジタル・ストレージ・オシロスコープ(DSO)が標準
■ 入門用でも、波形記録や解析、USB保存ができる機種が多く販売されている
■ 教育機関や企業でも、アナログよりデジタル機種を使った教育・研修が一般的
まとめ
アナログオシロスコープは表示の滑らかさとリアルタイム性に優れていましたが、現在ではほとんどがデジタル方式に置き換わっています。デジタル式の進化により、保存・再現性・解析機能が格段に向上し、初学者にとっても扱いやすくなりました。次回は「基本構造と各部名称」について紹介します。
【シリーズ】オシロスコープ入門講座(全10回)
対象読者:初めて使う方/学生/新入社員の研修用
■ 第1回:オシロスコープとは何か?基本概念と用途
■ 第2回:アナログ vs デジタルオシロスコープ
■ 第3回:基本構造と各部名称(ディスプレイ/つまみなど)
■ 第4回:プローブの基礎知識と使い方
■ 第5回:信号の入力方法とトリガーの考え方
■ 第6回:時間軸・電圧軸のスケール調整と見方
■ 第7回:波形の種類と読み取り方(矩形波/三角波など)
■ 第8回:基本的な測定項目(周期/周波数/振幅など)
■ 第9回:簡単なトラブルシューティング(波形が出ないとき等)
■ 第10回:よくある使い方の事例(電源・通信・オーディオ)
もっと用語集
- 無線通信の開発におけるスペクトラムアナライザの活用法とは?
- OWON TAO3000シリーズ タブレット・オシロスコープの機能と活用ガイド
- OWON SPEシリーズ シングルチャンネル直流電源の使い方と機能解説
- OWON VDS6000シリーズ PCベース・オシロスコープ FAQ
- OWON VDS6000シリーズ PCベース・オシロスコープの特長と使い方
- OWON XDS3000シリーズ オシロスコープ FAQ
- OWON XDS3000シリーズ 4チャンネル デジタル・オシロスコープの特長と活用法
- OWON XSA800シリーズ スペクトラムアナライザ FAQ
- OWON XSA800シリーズ スペクトラムアナライザの機能と活用法
- スペクトラムアナライザとは?仕組み・使い方・活用例をわかりやすく解説
- ファンレス静音!実験室向けDC電源SPSシリーズ活用術
- EMI対策に必須!スペクトラムアナライザによるノイズ測定入門
- スペクトラムアナライザの選び方:帯域・RBW・DANLの意味と基準
- FFT vs スペクトラムアナライザ:どちらで周波数解析するべき?
- スペクトラムアナライザの測定例で学ぶ:チャネルパワー・ACP・OBWとは
- 測定現場で役立つスペアナの便利機能10選【マーカ・トレース・トリガ】
- 初心者向け!スペクトラムアナライザの使い方ステップガイド
- スペクトラムアナライザ導入事例:教育機関・開発・品質保証の現場から
- ハンドヘルド型 vs 据え置き型:スペクトラムアナライザの形状別メリット比較
- 1台2役!OWON SPMシリーズで電源と測定を同時に
- 300Wクラスで選ぶ直流電源ベスト3:SPE・SPM・SPS比較
- スペクトラムアナライザの基礎知識:オシロスコープとの違いとは?