信号発生器 入門ガイド 第5回「オシロスコープとの連携測定」
信号発生器は、単独で使うだけでなく、オシロスコープと組み合わせて使用することで、波形の生成から観測・解析までを一貫して行うことが可能になります。本記事では、信号発生器とオシロスコープを連携させた基本的な測定方法と活用例を紹介します。
連携測定の基本構成
■ 信号発生器から出力される信号を、測定対象(回路やデバイス)に印加する
■ 同じ信号をオシロスコープのチャンネルに接続し、出力波形をリアルタイムで観測する
■ トリガー信号を信号発生器からオシロスコープに入力し、同期を取ることで安定した波形表示が可能になる
■ 高速信号やパルス信号を扱う場合には、同軸ケーブルの品質や長さにも注意が必要
代表的な測定パターン
■ 周波数応答測定
・ 信号発生器で周波数を変えながら、オシロスコープで出力の振幅を観測することで、BPFやLPFなどのフィルタ特性を評価可能
・ 周波数スイープ機能を用いることで、特性曲線の測定が効率化される
■ 伝送遅延や立ち上がり時間の確認
・ パルス波や方形波を用い、オシロスコープで信号の遅延や立ち上がり時間を測定
・ デジタル回路や通信ラインのタイミング評価に不可欠な測定手法
■ ノイズ耐性試験
・ 任意波形でノイズを混ぜた信号を発生させ、回路の誤動作を検出
・ 高周波ノイズや瞬断など、実環境に近い信号での試験が可能
測定精度向上のポイント
■ 信号発生器とオシロスコープのインピーダンス(通常50Ω)を整合させる
■ GND(グランド)の共通化に注意し、浮遊ノイズやループを防止する
■ 測定対象と出力信号のレベルが合っているかを事前に確認する
■ 波形観測時には、プローブの帯域や減衰比の設定も見直すことが重要
信号同期とトリガー設定
■ 信号発生器の同期出力(Sync Out)を、オシロスコープの外部トリガー入力(Ext Trigger)に接続することで、波形の安定表示が実現
■ 特にバースト信号やパルス列など、一度きりの出力では同期が不可欠
■ 信号の立ち上がり/立ち下がりにトリガーを合わせることで、狙ったタイミングの波形を正確に捉えられる
まとめ
信号発生器とオシロスコープの組み合わせは、電子計測の基本ともいえる手法です。連携することで、信号の発生から波形解析までを効率的に行うことができ、教育・開発・評価の現場で幅広く活用されています。本シリーズはこれで完結ですが、ご希望に応じて応用編の展開も可能です。
■ 「信号発生器 入門ガイド」シリーズ
ファンクションジェネレータや任意波形発生器の基本と応用を解説。
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