信号発生器 入門ガイド 第1回「信号発生器の基本と種類」
信号発生器は、電子回路の開発や評価、教育用途などで広く使われる計測器です。測定対象に対して基準となる波形を与えることで、応答を観察・解析する役割を担います。第1回では、信号発生器の基礎的な役割と、代表的な種類について解説します。
信号発生器とは何か
■ 任意の電気信号を出力する装置で、周波数、振幅、波形の種類を設定できる
■ 測定対象の回路に一定の信号を加えることで、動作確認や特性評価が可能になる
■ 主にアナログ波形(正弦波、矩形波、三角波など)やデジタルパルス、任意波形の生成に用いられる
■ 周波数帯域、出力電圧範囲、波形精度などの仕様は機種によって異なる
主な種類とその特徴
■ ファンクションジェネレータ
・ 代表的な波形(正弦波、方形波、三角波など)を簡単に出力可能
・ 一般的な回路動作確認や教育用途に最適
・ 多くの機種で周波数スイープ、変調機能も利用可能
■ 任意波形発生器(AWG:Arbitrary Waveform Generator)
・ ユーザーが定義した任意の波形を出力可能
・ デジタル信号や複雑なアナログ波形の再現に向いている
・ 波形エディタやPCソフトと連携して波形生成が可能なモデルも多い
■ RF信号発生器
・ 高周波(MHz〜GHz帯)に対応した信号源
・ 無線通信、レーダー、EMC試験、RF部品の評価に使用される
・ 位相雑音(フェーズノイズ)や周波数安定度も重要な指標
■ パルスジェネレータ
・ 高速で精密なデジタルパルス出力が可能
・ ロジック回路やタイミング制御系の検証に活用される
・ 立ち上がり/立ち下がり時間、デューティ比など細かく設定できる
選定時の基本ポイント
■ 測定対象の周波数範囲や電圧レンジに合った帯域幅と出力性能が必要
■ 出力インピーダンスが測定対象と整合しているかを確認する
■ 使用する波形の種類や変調方式が対応しているかを事前に確認する
■ 外部制御(USB, LAN, GPIB)やPC連携が必要かどうかも選定基準となる
まとめ
信号発生器は、アナログ・デジタル・RFといったさまざまな領域で活用されており、用途に応じて適切なタイプを選ぶことが重要です。次回は「基本波形(正弦波・方形波・三角波)の特徴と使いどころ」について解説します。
■ 「信号発生器 入門ガイド」シリーズ
ファンクションジェネレータや任意波形発生器の基本と応用を解説。
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