オシロスコープ入門講座 第10回「よくある使い方の事例(電源・通信・オーディオ)」
オシロスコープは、さまざまな分野で活用されている汎用測定器です。本記事では、初心者にも理解しやすい代表的な用途として、「電源回路」「通信信号」「オーディオ信号」の3つの分野での使用例を紹介します。実際の使用イメージを持つことで、オシロスコープの活用幅を広げましょう。
電源回路の測定
■ スイッチング電源の立ち上がり・立ち下がり時間を確認
■ 出力電圧のリップル(周期的な揺らぎ)を可視化
■ 異常電圧(スパイクやドロップ)の検出に有効
■ デジタル機器の電源投入時の挙動観察にも活用される
■ 高速過渡現象の測定には高帯域のオシロスコープが有効
通信信号の確認
■ UART、SPI、I2Cなどのシリアル通信波形を観測
■ 通信エラーの解析(欠損ビット、異常パターン)に役立つ
■ プロトコルデコード機能が搭載されている機種で可視化が可能
■ クロックとデータのタイミング関係の把握が重要
■ 波形が不安定な場合は、トリガー条件やバス設定を見直す
オーディオ信号の分析
■ オーディオアンプの出力波形(正弦波)の歪みやノイズを確認
■ 入出力の波形を同時観測して、遅延や反転の有無を評価
■ FFT機能を使って周波数成分を解析し、音質やノイズの特性を把握
■ 実効値(RMS)やTHD(全高調波歪)などの測定にも応用可能
■ 簡易的な音響測定にも活用される
まとめ
電源回路のリップル確認、通信信号の波形解析、オーディオの歪み検出など、オシロスコープは幅広い分野で利用されています。応用事例を知ることで、自身の用途に合った設定や機能を選べるようになります。今後さらにスキルを高めるには、機能別の専門的な学習や、プローブの選定、測定精度の向上にも取り組むとよいでしょう。
【シリーズ】オシロスコープ入門講座(全10回)
対象読者:初めて使う方/学生/新入社員の研修用
■ 第1回:オシロスコープとは何か?基本概念と用途
■ 第2回:アナログ vs デジタルオシロスコープ
■ 第3回:基本構造と各部名称(ディスプレイ/つまみなど)
■ 第4回:プローブの基礎知識と使い方
■ 第5回:信号の入力方法とトリガーの考え方
■ 第6回:時間軸・電圧軸のスケール調整と見方
■ 第7回:波形の種類と読み取り方(矩形波/三角波など)
■ 第8回:基本的な測定項目(周期/周波数/振幅など)
■ 第9回:簡単なトラブルシューティング(波形が出ないとき等)
■ 第10回:よくある使い方の事例(電源・通信・オーディオ)
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