オシロスコープ入門講座 第6回「時間軸・電圧軸のスケール調整と見方」
オシロスコープで波形を観察する際、画面上にどのように波形を表示させるかは「時間軸」と「電圧軸」の設定によって決まります。今回は、この2つのスケール調整の基本と、画面の見方について解説します。
電圧軸(垂直軸)のスケール調整
■ V/div(ボルト・パー・ディビジョン)は、1目盛りあたりの電圧値を示す
■ 電圧が小さく見えにくい場合は、V/divの値を小さく(感度を高く)する
■ 電圧が大きく画面からはみ出す場合は、V/divを大きくして全体を表示させる
■ チャンネルごとにスケールを個別に調整可能(CH1とCH2で異なる設定ができる)
時間軸(水平軸)のスケール調整
■ Time/div(タイム・パー・ディビジョン)は、1目盛りあたりの時間を表す
■ 波形が短く詰まって見える場合は、Time/divを小さくして拡大表示
■ 波形が一部しか見えない場合は、Time/divを大きくして長い時間を表示
■ 波形の周期や立ち上がり時間を見る際には適切な拡大率が必要
位置調整(オフセット)の使い方
■ 水平位置(Time位置):波形の表示開始点を左右に移動できる
■ 垂直位置(Voltage位置):波形の中心を上下に移動できる
■ 複数の波形を重ねて比較する場合、垂直位置をずらすと見やすくなる
■ オフセットを調整しても、波形の実際の電圧や時間情報には影響しない
画面表示の見方のコツ
■ 横軸=時間、縦軸=電圧という基本を常に意識する
■ グリッド1目盛りあたりの値は、V/divおよびTime/divで決まっている
■ 波形の山と谷の数から周期や周波数を読み取ることができる
■ 正弦波や矩形波など、波形の形状から信号の特徴を把握する練習が効果的
まとめ
時間軸と電圧軸の調整は、波形を正しく観察・分析するための第一歩です。波形が小さすぎる、大きすぎる、見切れているなどの状況に応じて、スケールを調整しながら最適な表示を探ることが、測定精度を高めるコツになります。次回は「オートセットと測定自動化の基本」について解説します。
【シリーズ】オシロスコープ入門講座(全10回)
対象読者:初めて使う方/学生/新入社員の研修用
■ 第1回:オシロスコープとは何か?基本概念と用途
■ 第2回:アナログ vs デジタルオシロスコープ
■ 第3回:基本構造と各部名称(ディスプレイ/つまみなど)
■ 第4回:プローブの基礎知識と使い方
■ 第5回:信号の入力方法とトリガーの考え方
■ 第6回:時間軸・電圧軸のスケール調整と見方
■ 第7回:波形の種類と読み取り方(矩形波/三角波など)
■ 第8回:基本的な測定項目(周期/周波数/振幅など)
■ 第9回:簡単なトラブルシューティング(波形が出ないとき等)
■ 第10回:よくある使い方の事例(電源・通信・オーディオ)
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