オシロスコープ入門講座 第4回「プローブの基礎知識と使い方」
オシロスコープを使う際に欠かせないのがプローブです。プローブは信号を測定器に伝える役割を担っており、その選び方や接続方法によって測定精度が大きく変わります。本回では、プローブの種類、構造、正しい使い方について基本を解説します。
プローブとは何か
■ オシロスコープ本体と測定対象の信号をつなぐためのアクセサリ
■ 単なる「ケーブル」ではなく、測定に適した設計と減衰機能を持つ
■ 波形の正確な再現と安全な測定のために必須の部品
主なプローブの種類
■ パッシブプローブ:一般的な10:1の減衰型。コストパフォーマンスに優れ、基本的な電気信号測定に使われる
■ アクティブプローブ:高速・高周波測定に適し、アンプを内蔵。高価だが信号の忠実性が高い
■ 差動プローブ:2点間の電位差を測定する。ノイズに強く、高電圧やフローティング測定に最適
■ 電流プローブ:電流波形の測定用。クランプ型で非接触測定が可能なタイプもある
減衰比とプローブ設定
■ 減衰比とは、プローブが入力信号を何分の1にしてオシロスコープに伝えるかを示す
■ 一般的には10:1や1:1が多く、プローブとオシロスコープの両方で設定を一致させる必要がある
■ 減衰比を正しく設定しないと、表示される電圧値が実際と異なってしまう
プローブの接続方法
■ GNDクリップは必ず接続する(グラウンドを取らないと誤動作やノイズの原因になる)
■ テストポイントに対して垂直かつ短い配線で接続することが望ましい
■ 接続部が長いとインダクタンスが増え、高周波測定で影響が出やすくなる
■ プローブ補正用の校正端子で、波形の整合性をチェックするのが基本
安全上の注意点
■ 測定対象の電圧がプローブの定格を超えないよう確認する
■ 高電圧測定には必ず対応する高電圧プローブを使用する
■ 測定環境のグランドループによる破損を避けるため、測定対象の構成を事前に確認する
まとめ
プローブはオシロスコープの性能を最大限に引き出すための重要な装置です。正しい種類を選び、適切に接続することで、測定精度と安全性の両方を確保できます。次回は「波形の基本的な読み取り方と測定のポイント」を解説します。
【シリーズ】オシロスコープ入門講座(全10回)
対象読者:初めて使う方/学生/新入社員の研修用
■ 第1回:オシロスコープとは何か?基本概念と用途
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■ 第3回:基本構造と各部名称(ディスプレイ/つまみなど)
■ 第4回:プローブの基礎知識と使い方
■ 第5回:信号の入力方法とトリガーの考え方
■ 第6回:時間軸・電圧軸のスケール調整と見方
■ 第7回:波形の種類と読み取り方(矩形波/三角波など)
■ 第8回:基本的な測定項目(周期/周波数/振幅など)
■ 第9回:簡単なトラブルシューティング(波形が出ないとき等)
■ 第10回:よくある使い方の事例(電源・通信・オーディオ)
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