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プローブの基礎と活用術 第3回「減衰比と入力インピーダンスの関係」
- 2025/6/15 -

プローブの基礎と活用術 第3回「減衰比と入力インピーダンスの関係」
プローブを選ぶうえでよく目にする「減衰比」と「入力インピーダンス」。これらは測定精度や回路への影響に直結する重要な指標です。しかし、正しく理解していないと、回路の挙動を乱したり、測定結果が大きくずれる原因になります。今回は、減衰比と入力インピーダンスの基本的な意味とその関係について解説します。

減衰比とは
■ プローブが入力信号をどれだけ小さくしてオシロスコープに送るかを示す値
■ 一般的な減衰比は1:1、10:1、100:1などがある
■ 10:1の場合、プローブに入力された電圧の1/10がスコープに入力される
■ 高電圧信号を安全に測定したり、オシロスコープの最大入力電圧を超えないようにする目的で使われる
■ 減衰比に応じて、スコープ側の表示設定も一致させないと、表示電圧が実際とずれる

入力インピーダンスとは
■ プローブが測定対象に対して持つ「見かけ上の抵抗」のようなもので、単位はΩ(オーム)
■ 高いインピーダンスほど回路への影響が少なく、測定に有利
■ パッシブプローブでは10:1で10MΩ + 数十pF程度が一般的
■ 1:1プローブでは1MΩ + 数百pFになることが多く、高周波成分に影響を与えることもある
■ アクティブプローブは入力インピーダンスが非常に高く(数百MΩ以上)、容量も低いため高周波測定に最適

減衰比と入力インピーダンスの関係
■ 減衰比が高い(例:10:1)プローブの方が、入力インピーダンスは高くなる
■ 減衰によって信号を縮小することで、オシロスコープに負担をかけずに高電圧を扱える
■ また、負荷効果が小さいため、回路の動作に影響を与えにくくなる
■ 一方、1:1プローブは低インピーダンスになりがちで、信号源に大きな負荷をかける可能性がある

減衰比選定のポイント
■ 高電圧や高周波信号には10:1または100:1のプローブを使用する
■ 微小信号で高感度が必要な場合は1:1やアクティブプローブを検討
■ 測定する回路のインピーダンスに応じて、プローブの入力インピーダンスとのバランスを考える
■ 入力インピーダンスが合わないと、信号の振幅が変化したり波形が乱れることがある

まとめ
減衰比と入力インピーダンスは、単なる数値の違いではなく、測定の精度や信頼性に大きな影響を与えます。正しい知識をもとにプローブを選定し、測定対象との整合性を意識することが重要です。次回は「プローブ補正のやり方」について解説します。

■「プローブの基礎と活用術」シリーズ

第1回:プローブの種類と役割(パッシブ/アクティブ/差動/電流など)
第2回:正しい接続方法と注意点
第3回:減衰比と入力インピーダンスの関係
第4回:プローブ補正のやり方
第5回:測定精度を保つためのメンテナンスと保管
第6回:プローブ故障のサインと交換時期

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