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プローブの基礎と活用術 第4回「プローブ補正のやり方」
- 2025/6/15 -

プローブの基礎と活用術 第4回「プローブ補正のやり方」
オシロスコープ用プローブを正しく接続したとしても、補正が不十分だと測定結果に誤差が生じることがあります。とくにアナログ信号の波形測定においては、プローブの補正(校正)が重要です。今回は、パッシブプローブを中心に、補正の目的と具体的な手順について解説します。

プローブ補正とは
■ プローブの周波数応答を理想的な状態に合わせる作業
■ ケーブルや部品により発生する位相ずれやゲインのズレを補正する目的がある
■ 補正が取れていないと、方形波などで波形の角が丸まったり、オーバーシュートやアンダーシュートが発生する
■ 多くのオシロスコープでは、プローブ補正用の出力端子が本体に備えられている

補正に必要な準備
■ 補正対象のプローブ(10:1のパッシブプローブが一般的)
■ オシロスコープ本体(プローブ補正端子付き)
■ 小型マイナスドライバー(補正用トリマー調整に使用)
■ オシロスコープにプローブを接続し、補正端子にプローブの先端を接続する
■ GNDクリップも補正端子のGNDに正しく接続する

補正の手順
■ オシロスコープを起動し、補正信号(通常は1kHzまたは1.2kHzの方形波)を表示する
■ 波形を拡大して、立ち上がり/立ち下がりの角が鋭角であるか確認する
■ 波形の角が丸まっている(アンダー補正)場合は、トリマーを回して補正容量を増やす
■ 波形に尖った山や谷がある(オーバー補正)場合は、トリマーを逆方向に回して補正容量を減らす
■ 補正が完了すると、波形がきれいな方形波(立ち上がり・立ち下がりが直線的)になる

補正時の注意点
■ 必ずプローブの減衰比(10:1など)と、スコープの設定が一致していることを確認する
■ 過度に補正用ネジを回すと破損する恐れがあるため、ゆっくり慎重に操作する
■ 補正はすべてのチャンネル・すべてのプローブに対して個別に実施する
■ 使用前に毎回実施する必要はないが、初回使用時や長期間使用していなかった場合は実施が望ましい

まとめ
プローブ補正は簡単な作業ながら、測定の信頼性に大きく関わる重要な手順です。正しく補正されたプローブであれば、波形の再現性が向上し、誤判断を防ぐことができます。次回は「測定精度を保つためのメンテナンスと保管」について紹介します。

■「プローブの基礎と活用術」シリーズ

第1回:プローブの種類と役割(パッシブ/アクティブ/差動/電流など)
第2回:正しい接続方法と注意点

第3回:減衰比と入力インピーダンスの関係
第4回:プローブ補正のやり方
第5回:測定精度を保つためのメンテナンスと保管
第6回:プローブ故障のサインと交換時期

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