信号発生器 入門ガイド 第3回「周波数・振幅・オフセットの調整方法」
信号発生器で出力する波形は、目的に応じて周波数、振幅、直流オフセットなどを細かく調整する必要があります。これらのパラメータ設定が不適切だと、測定誤差や回路破損の原因になることもあります。第3回では、代表的な3つの調整項目について解説します。
周波数(Frequency)の調整
■ 波形が1秒間に何回繰り返されるかを示す値(単位はHz)
■ 回路の応答周波数や、対象機器の動作速度に合わせて設定する
■ オーディオ試験では数Hz〜数kHz、RF評価では数MHz〜GHzが一般的
■ 設定範囲は信号発生器のモデルによって異なり、高周波モデルほど高価
■ スイープ機能を使えば、周波数を一定範囲で自動変化させることも可能
振幅(Amplitude)の調整
■ 波形のピーク間電圧(Vpp)または実効値(Vrms)として設定される
■ 回路に印加する電圧レベルを正確に設定しないと、誤作動や破損の恐れがある
■ 通常、設定可能な振幅は数mVから10Vp-p程度が一般的
■ 出力インピーダンス(通常50Ω)と負荷抵抗が異なる場合は、実際の印加電圧に注意する必要がある
■ 一部の信号発生器では、High Level/Low Levelで直接設定する方式もある
オフセット(DC Offset)の調整
■ 波形全体に直流成分を加え、基準電位を上下にシフトさせる機能
■ 例えば、±2.5Vの方形波を0~5Vにシフトすることで、TTLレベルに対応可能
■ 多くの機種では「オフセット=中心電位」として+/-数ボルトまで設定できる
■ AC結合された回路ではオフセットが遮断されるため、動作モードに注意が必要
■ オフセット設定ミスによるバイアス過電圧は、測定対象の損傷を引き起こす可能性がある
調整時の共通注意点
■ 調整値が即座に出力に反映されるタイプもあり、誤設定による信号出力に注意する
■ 多チャンネル機では各チャンネルごとに個別設定が必要
■ 周波数や振幅の設定範囲を超えると警告や制限が表示されるモデルが多い
■ 実際の波形をオシロスコープで確認しながら調整することで、確実な動作が得られる
まとめ
周波数・振幅・オフセットは、信号発生器の最も基本的かつ重要な設定項目です。正確な調整を行うことで、安全かつ効率的な測定が可能になります。次回は「スイープ・バースト・変調機能の基礎」について解説します。
■ 「信号発生器 入門ガイド」シリーズ
ファンクションジェネレータや任意波形発生器の基本と応用を解説。
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