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オシロスコープ 周波数 見方
- 2025/6/17 -

オシロスコープ 周波数 見方

オシロスコープで波形を観測する際、「周波数」は信号の基本的な特性の一つとして非常に重要です。周波数を正しく読み取ることができれば、信号の種類や異常の有無、設計値とのズレなどを効率的に把握することができます。ここでは、オシロスコープを用いて周波数を確認する基本的な方法や注意点を解説します。

 

周波数とは何か

周波数とは、1秒間に繰り返される波の回数を表す指標で、単位はヘルツ(Hz)です。1秒間に100回繰り返す信号であれば「100Hz」、1秒間に100万回繰り返す信号は「1MHz」となります。オシロスコープでは、波形が時間軸に沿ってどれだけの周期で繰り返されているかをもとに、この周波数を読み取ることができます。

 

波形から周波数を読み取る方法

周波数は「周期」の逆数として求められます。すなわち、1つの波が繰り返すのにかかる時間(周期)を測定し、それを1で割ることで周波数が分かります。

オシロスコープで波形を表示したら、以下の手順で周波数を読み取ることができます。

  1. 波形が安定していることを確認する(トリガ設定)

  2. 時間軸(Time/Div)を適切に調整して、1波長以上が画面に表示されるようにする

  3. 水平カーソルを使って、波の山から次の山までの時間(周期)を測定する

  4. 周期の逆数を求めて、周波数を算出する

たとえば、1周期の長さが2マイクロ秒(μs)であれば、周波数はおおよそ500kHzとなります。

 

自動測定機能の活用

最近のデジタルオシロスコープでは、「周波数自動測定」機能を備えている機種が多く、カーソル操作なしでもワンタッチで周波数を表示できます。多くの機種では、画面下部または右側に測定項目(frequency, period, duty cycleなど)が一覧表示され、どのチャンネルの波形に対して何Hzの信号かをリアルタイムで確認できます。

この機能は、測定のスピードや正確さを大きく向上させるため、特に複雑な波形や高周波信号を扱う場合に非常に便利です。

 

正確な周波数測定のための注意点

■ 波形が安定していること
周波数を正確に測定するためには、波形が画面上で静止している必要があります。トリガレベルやエッジ設定が適切でないと、波形が流れて見え、周期の特定が難しくなります。

■ 時間軸のスケールに注意
時間軸が粗すぎると、波形が圧縮されて正確な周期が測定できなくなります。逆に、細かすぎると周期の全体が表示されなくなるため、適切なTime/Div設定が重要です。

■ 複雑な波形の場合
複数の周波数成分が混在した信号では、どの成分の周波数を測定しているかを意識する必要があります。矩形波やパルス波などは高調波を多く含むため、基本周波数を特定するには注意が必要です。

 

FFTを使った周波数の確認

時間波形だけでなく、FFT解析機能を使うことで信号中に含まれる複数の周波数成分をスペクトル表示で確認することもできます。特に、ノイズ源の特定や高調波解析、EMI対策などではFFT表示が有効です。

FFT画面では、縦軸が振幅、横軸が周波数となり、信号に含まれる成分がどの周波数に集中しているかを一目で把握できます。これにより、時間波形からは分かりにくい信号の特徴を発見できることがあります。

 

周波数を測る対象の例

オシロスコープで周波数を測定する機会はさまざまです。

■ クロック信号の確認(例:50MHz、100MHz)
■ PWM制御波形の周波数測定
■ センサ出力の周期評価(例:振動、圧力信号など)
■ デジタル通信(UART、SPI、I2Cなど)のビットレート確認
■ スイッチング電源の動作周波数の評価

こうした用途に合わせて、帯域幅やサンプリングレートも適切に選ぶことが大切です。

 

OWON機種における周波数測定の例

OWONのADS800AやADS3000シリーズなどでは、自動測定機能に加え、直感的なカーソル操作も可能です。12ビット分解能により、微小な信号の波形も正確に描写されるため、周波数だけでなくノイズや立ち上がりの評価にも適しています。周波数の安定性や変化の傾向をチェックする用途でも高い評価を得ています。

 

まとめ

オシロスコープで周波数を確認することは、信号の特性や動作状態を把握する上で非常に基本かつ重要な操作です。周期の測定から自動表示、FFTを使った解析まで、用途や信号の種類に応じて最適な方法を選びましょう。周波数を正しく見る力があれば、波形解析の理解とトラブル対応の精度が大きく向上します。

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