測定シーン別オシロスコープ活用術 第5回「マイコンI/Oの応答チェック」
マイコン(マイクロコントローラ)のI/Oピンは、外部デバイスとのインターフェースに欠かせない信号出力・入力の要です。オシロスコープを使ってこれらのI/O動作を可視化することで、プログラム通りの応答が出ているかを確認できます。
マイコンI/Oの典型的な測定対象
■ GPIOのHigh/Low出力(LED点灯制御、リレー駆動など)
■ 入力ピンによる外部信号の検出(スイッチ、センサー入力)
■ UART/SPI/I2Cなどの通信信号
■ PWM出力による制御波形(モーター、ブザーなど)
測定時の準備と設定
■ I/Oピンの論理レベル(3.3V/5V)に合わせて垂直スケールを調整する
■ 単純なON/OFF信号なら、エッジトリガーで立ち上がり/立ち下がりを安定表示
■ 周期動作する信号は、周期トリガーやパルストリガーが有効
■ UARTなどの通信波形には、オシロのデコード機能を活用することで内容の解析も可能
測定時の注意点
■ プルアップ・プルダウン抵抗がある場合、信号の遷移に時間がかかることがある
■ ファームウェアバグやI/O設定ミスが原因で波形が出力されないケースも多い
■ 周辺回路がI/Oの出力に影響を与えていないか(ショート・ノイズなど)を確認する
■ 信号の立ち上がり/立ち下がり時間や、グリッチ(不正な短いパルス)も確認ポイントとなる
応答の評価方法
■ 実行タイミングの遅延がないか、他の信号との関係で確認する
■ 特定の条件下(例:割り込み発生時)の応答も観測し、意図通り動作しているか評価
■ 信号が一瞬しか出ない場合は、波形保持(ホールド)機能やシングルトリガーを活用する
■ 連続測定したい場合は、ロギング機能やPCへの波形転送を活用
まとめ
マイコンI/Oの動作確認は、組み込み開発の初期トラブルの特定やデバッグに大変役立ちます。オシロスコープを使えば、プログラムとハードウェアが正しく連携しているかを視覚的に検証でき、開発効率を大幅に向上させることができます。次回は「オーディオ波形の確認とひずみの可視化」について解説します。
測定シーン別オシロスコープ活用術(全8回)
対象読者:オシロを使ったことがある中級者向け
■ 第1回:電源回路の基本測定(リップル/過渡応答)
■ 第2回:センサー出力の確認(温度/加速度)
■ 第3回:PWM信号のデューティ比確認
■ 第4回:アナログ vs デジタル信号の測定方法の違い
■ 第5回:マイコンI/Oの応答チェック
■ 第6回:オーディオ波形の確認とひずみの可視化
■ 第7回:FFTを使ったノイズ源の分析
■ 第8回:複数チャネルの同時測定と相関分析
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