測定シーン別オシロスコープ活用術 第3回「PWM信号のデューティ比確認」
PWM(パルス幅変調)信号は、モータ制御・LED調光・電源制御など、幅広い分野で使われています。オシロスコープを使うことで、PWM信号のデューティ比を正確に可視化し、制御の妥当性やトラブルの有無を確認できます。
PWM信号とは?
■ パルス波のオン(High)時間とオフ(Low)時間の比率で出力レベルを変化させる制御方式
■ 周波数が一定で、デューティ比のみを変化させる制御が一般的
■ 0%(常時Low)から100%(常時High)まで、任意の比率で制御可能
オシロスコープでの測定方法
■ 垂直軸と時間軸を信号に合わせて調整し、パルス波形を明瞭に表示
■ 「パルス幅」または「デューティ比」の自動測定機能を活用する
■ 十分な時間軸レンジで複数周期を表示し、安定しているか確認
■ トリガーは立ち上がり/立ち下がりのエッジに設定すると安定する
測定時の注意点
■ デューティ比は周期全体に対するHigh時間の割合なので、周波数の安定性も同時に確認する
■ 負荷によってパルスの波形が歪む場合があるため、アイドル時と動作時の比較が有効
■ 微小なPWM(低電圧)信号では、プローブの帯域や接続方法によって精度が落ちるため注意
■ 使用するプローブが過渡応答に優れていることを確認してから測定する
よくあるトラブルと対策
■ デューティ比が不安定 → クロック源のジッタ、ノイズ混入の可能性あり
■ パルスの立ち上がりが遅い → ドライバ回路の性能、または負荷の容量成分に注意
■ 測定値が異常 → 垂直感度やトリガーレベルの設定ミス、または自動測定条件の誤認識が原因の場合もある
まとめ
PWM信号は目で見ただけでは正確なデューティ比を把握しづらいため、オシロスコープによる数値測定が重要です。タイミングとレベルの安定性を同時に確認することで、回路の健全性を高めることができます。次回は「アナログ vs デジタル信号の測定方法の違い」について解説します。
測定シーン別オシロスコープ活用術(全8回)
対象読者:オシロを使ったことがある中級者向け
■ 第1回:電源回路の基本測定(リップル/過渡応答)
■ 第2回:センサー出力の確認(温度/加速度)
■ 第3回:PWM信号のデューティ比確認
■ 第4回:アナログ vs デジタル信号の測定方法の違い
■ 第5回:マイコンI/Oの応答チェック
■ 第6回:オーディオ波形の確認とひずみの可視化
■ 第7回:FFTを使ったノイズ源の分析
■ 第8回:複数チャネルの同時測定と相関分析
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